パジェット病とパジェットイド癌は違うものなのですか?

2020年5月21日   

3年くらい前から乳首に痒みがあり、垢のようなものがポロポロとれました。湿疹も出来たので皮膚科でリンデロン軟膏をもらい塗ればよくなるけどまた悪化する、を繰り返してました。産後から陥没乳頭気味だったので汚れが溜まりやすいせいだと言われ清潔にはしていました。
だんだんリンデロンが効かなくなってきて乳首が赤く大きくなってきたので他の皮膚科に行ったところ、パジェット病かも?と言われて乳腺クリニックに行きましたが、マンモでもエコーでもしこりがなかったので乳がんではないよ、と言われました。
先日、子供とふざけていた際、誤って転び、胸を打ち予想以上の激痛だったため整形外科に行くと胸骨が折れていました。
普通の大人が幼児に押されて屋内で転んだくらいで胸骨は折れない、この骨折は異常だ、と紹介状を書いて下さり、総合病院で検査した結果、パジェットイド乳がんで癌が乳房全体に広がり、リンパに転移してるから癌が全身に回っている、可能な治療はするけど年単位ではもう考えられないから家族で楽しく過ごせることを考えてください、と言われました。
セカンドオピニオンも考えていますが、その時間やお金ももったいないような気もしています。
今の私の状況からどんな治療がありますか?
パジェット病は予後は良い、と書かれているものもありますが、パジェット病とパジェットイド癌は違うものなのですか?

確かに名前が似ているので紛らわしいですね。もともと、乳頭皮膚にびらん(皮が向けたような感じ)と呼ばれる所見を認めるものを臨床的なPaget(パジェット)病と呼んでいますが、その中には乳腺内の癌巣が非浸潤か微小浸潤の「真のPaget病」と、乳腺内の浸潤癌が経乳管的に乳頭表皮に進展した「Pagetoid(パジェトイド)」に別れます。パジェット病はおっしゃるようにほとんどが乳輪皮膚に限局した癌であり予後は良好ですが、パジェトイドは乳房内のがんが乳輪乳頭まで浸潤してパジェット病のような皮膚症状を起こしたものですから進行しています。質問者の方の場合、明らかな腫瘤を作らないがんだったので検査では見つからず、乳輪の皮膚症状だけだったのかもしれません。下のサイトに詳しくまとめられているので、読んでみて下さい。治療方針については、通常の乳がんと同じです。

http://nyugan.info/medical/qa/qa1/q1_13.html

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行