閉経前ホルモン療法について教えて下さい。また閉経してしまったら治療法は代えた方がいいのでしょうか?

2020年2月18日   

ホルモン治療で、ノルバデックスの服用とゾラデックス注射をしています。
ゾラデックスは3ヶ月製剤を使っていて、12週に1度注射をしてもらっていますが、今回、2週間程前に注射したところが最初は内出血していて、それが引いたぐらいに小豆大のしこりができているのに気がつきました。痛みもましにはなってきましたが、やはりあります。
こう言う時はどのくらいのタイミングで受診するのがいいですか?
いつも、多かれ少なかれトラブルはあるのですがいつも我慢して次の注射をしてもらうというかんじです。
そして、もうひとつ、ゾラデックスを使っているので生理はありませんがノルバデックスを服用していますが閉経後はアロマターゼ阻害薬を使ったほうが予後がいいと言われていますが、ノルバデックスの服用でいいのでしょうか?
複数のことを質問してすみません。
よろしくお願いいたします。

治療中の気になることが、質問できず解決しないのは不安になりますよね。質問に回答させていただきます。

①ゾラデックスの症状について

ゾラデックスという閉経前に使うホルモン療法のための注射は、皮下組織(主に乳がん患者さんには腹部の皮下)に注射しますが、薬剤が注射部位から徐々に溶け出して一定期間(3ヶ月製剤の場合は約3ヶ月)作用するように作られていますので、薬剤が身体に異物として認識され、硬結(しこり)をつくることがあります(5~40%)。このまま徐々に改善することがほとんどです。ごくごく稀に、炎症が強くなり感染を伴うことがあり、その場合は早めに治療しておくほうが良いので、発赤や痛みが強くなってくる時は、一度診察を受ける方が安心です。その際の診察が難しいようなら、その時の状態を写真にとっておき、定期診察時に担当医か外来ナースにみてもらうのが、不安を取り除ける方法です。しかし、そういった状態(発赤や痛みが徐々に強くなる)がなければ、内出血や硬結は想定内の症状なので、「この硬結の部分に、乳がんを治療する薬があって、今乳がんをやっつけている」と思っておくほうが、気が楽になると思います。

硬結予防の対策です

・注射の後は、注射部位を揉まず、軽く抑える程度にします。

・注射部位は、できるだけ前回の注射部位とは離れた位置を選びます。

・注射をした部位の皮膚が刺激を受けないように、衣服を調整します。ウエストやベルトのラインなどへの注射はできるだけ避けるようにします。

以上のことを注意してみてください。それでも症状がひどい場合は、ゾラデックスと同様な薬剤で、リュープリンという注射は、同じ作用で注射針が細いので、その施設で使用できる場合は、変更ができるか、担当医か外来ナースに相談してみてください。

 

②閉経前のホルモン療法

現在、閉経前の再発予防のための内服薬のホルモン療法は、現在内服しておられるノルバデックスという薬だけしか、保険適応がありませんので、LHRHアゴニスト+アロマターゼ阻害剤は術後の再発予防には、使用できません。

現在、50才ですので、ゾラデックスを使用しなくても閉経、という状態がいずれきます。

閉経後であれば、ノルバデックスよりもアロマターゼ阻害剤のほうが、再発を減らす効果が強いので、その頃になったら変更も考慮できます。

具体的にはゾラデックス2~3年+ノルバデックス5年→アロマターゼ阻害剤5年といったようなイメージです。

治療中の気になることが、質問できず解決しないのは不安になるとおもいますので、遠慮なさらず、相談コーナーをご利用ください。

 

文責:香川乳腺クリニック 香川直樹