ルミナルAタイプの乳がんで断端も陰性でしたが、50歳以下なのでブースト照射を勧められました。必要でしょうか?

2020年6月17日   

現在46歳、2020年5月に左乳房の部分切除を行い、病理検査の結果は次の通りです。
・浸潤性乳管癌(充実型)
・大きさ 10✕10㎜(浸潤径10✕5㎜)
・切除断端 陰性
・悪性度 2
・ホルモン受容体 ER 陽性(100%) PgR 陽性(80%)
・HER2 陰性
・センチネルリンパ節生検 転移なし
・ステージ IA
・Ki-67 2%
ルミナルAタイプで、主治医からは、術後の加療としてホルモン療法(タモキシフェン/5年)と放射線治療(温存乳房照射/25回)を行うと説明されていました。
ところが、放射線治療の主治医からは、温存乳房照射25回に加えブースト照射5回も行うと説明されました。乳がん手術主治医からの説明と違う旨を伝えると
「50歳以下なのでブーストも行った方が再発予防になる」と言われました。
年齢だけで判断されるものなのでしょうか?再発率が何%減るか等のデータ説明もなく、副作用のリクスを考えるといまいちブースト照射の必要性を感じられません。このまま放射線治療医師の計画に従うべきでしょうか?

ご質問ありがとうございます。

これまでの臨床試験の結果から、いずれの年齢層においても断端陰性例に対するブースト照射により局所再発率が低下すること、さらに若年例ほどブースト照射による再発率の低下が大きいことがわかっています。また、心配されておられる副作用についても、これまでの臨床試験の結果から、ブースト照射の有無で乳房の収縮や整容性に有意差は認めなかったとことが報告されており、10Gy(5回)程度のブースト照射は安全に施行可能であると考えられています。

したがって、放射線治療の先生がおっしゃられた「50歳以下なのでブーストも行った方が再発予防になる」というのは間違いではありません。しかしながら、ブースト照射を行う年齢に明確な基準はなく、年齢によりブースト照射を行うかどうか、何歳以下の方にブースト照射を行うかは各施設で判断しているのが現状です。当院では、50歳以下の方は断端陰性であってもブースト照射を行う方針としておりますので、今回の場合、当院で治療を行うのであれば、ブースト照射の適応となります。

ブースト照射を行うかどうかについては、再度、主治医の先生方とよくご相談していただければと思います。

 

文責:広島大学病院放射線治療科 西淵いくの