副作用でホルモン療法を変更しようと考えていますが、副作用や再発率が気になります。

2020年2月25日   

アナストロゾールを服用して3か月になります。副作用と思われる、手指の関節のこわばり、両方の肩関節の痛みと可動域の狭まり(五十肩のような症状)などが出て、近所の整形外科医院でリハビリを受けていますが、なかなか改善しません。主治医からは、アナストロゾールのほうが効果が高いが、副作用がつらいならノルバデックスに変えても良いと言われました。他のアロマターゼ阻害剤に変えても関節の副作用は変わらないと言われました。日常生活に少し不自由はあるものの、我慢できなくはないので、服用を続けようとは思っていますが、骨密度が以前より下がってきていることも気になります。一方で、ノルバデックスは子宮癌の可能性を高めるという記述があることも気になります。
ホルモン治療は5年以上と聞いています。その間、薬の種類を変えない方がいいのか、変えてもいいのか心配なため、以下の4点についてお伺いいたします。
①今すぐノルバデックスに変えた場合、乳癌の再発や転移の可能性はどれくらい上がるのでしょうか? また、子宮癌になる可能性はどれほどでしょうか?
②現在のアナストロゾールをぎりぎり我慢できなくなるまで(関節の不調や骨量減少の様子をみて)服用し、そのあとノルバデックスに変えた場合、関節の不調や骨量は改善するでしょうか?
③関節の不調が我慢できて、今後骨量減少が進んだ場合に対しては、ホルモン治療薬を変えることで対応するのではなく、骨粗しょう症の治療薬で対応する方がいいのでしょうか? 近所の整形外科の先生は、骨量減少が進んだ時にはビビアントとエビロールを服用するといいとおっしゃっていますが、アロマターゼ阻害剤との併用は大丈夫でしょうか?
④現在のアナストロゾールからノルバデックスに変えて副作用の様子を見て、あまり変わらないようなら、またアナストロゾールなどのアロマターゼ阻害剤にするといったことは可能でしょうか?アドバイスよろしくお願いいたします。ちなみに、ステージ1の浸潤性乳管癌で2019年10月下旬に左乳房温存手術を受けました。病理検査で、リンパ節転移なし、ER50% 陽性、PgR1%未満 陰性、HER2 1+陰性、 Ki67 10~20%、 グレード1、 断端陰性、 静脈侵襲0、 リンパ管侵襲1とのことでした。術後、放射線治療を寡分割照射42.5Gy/16回受けました。11月下旬より、アナストロゾールを服用しています。

①術後五年間の内服ではタモキシフェンより、アナストロゾールの方が20%再発を防止することが報告されています。ステージ1のルミナルタイプですので、元々リスクは低いので差はそんなに大きくないと思われます。
タモキシフェンの子宮体癌のリスクは2〜3倍、こちらもそんなに多い数ではないことと、定期的な検診で早期発見した場合、命に関わるような状況は少ないです。
②個人差はありますが、内服中止してしばらくは症状は続きますが、最終的には軽快します。
③アロマターゼ阻害剤とビビアントの併用はお勧めできません。ビスフォスフォネート製剤が有効です。
④実際に、薬を変更後も体調が変わらず、再度同じ薬に戻される方もいます。どのくらいというデータはありませんが、何らかのホルモン療法を継続することは重要です。

内服開始3ヶ月とのこと、徐々に薬に慣れてくる方も多いことと、冬場寒い時期の方が関節症状が強く出る方は多いです。まずは消炎鎮痛剤やエクオールなどで症状緩和ができる可能性はあります。しかし徐々に痛みがひどくなるようであれば、タモキシフェンへの変更もよいのではないでしょうか。

 

文責:ひろしま駅前乳腺クリニック 長野晃子