異時性両側乳がんで、遺伝子検査でBRCA1陽性でした。今度の手術の術式はどうしたらいいでしょうか?

2020年10月30日  , 

4年前に右側乳癌HER2陽性ステージ1で、温存手術を受けています。
今年に入り左側にトリプルネガティブステージ1 で、抗がん剤治療中で、遺伝子検査を受けたところBRCA1陽性でした。
12月頭に手術予定なのですが、今後、命を最優先にするには、どのような手術方法や治療をしていけば良いかアドバイス頂きたいです。
トリプルネガティヴ、遺伝性、次々と不安が増しています。
まだ小さい子も居るので、再建もしたいですが、乳頭や皮膚を残す全摘でも大丈夫でしょうか。何もかも無くなってしまうの怖いです
遺伝性と言う事で、次々と癌が出てきてしまうのではないかと不安です。

育児の最中の治療、大変でらっしゃると思います。みんなで頑張って乗り切りましょう。幸いにステージ1とのこと、温存手術も選択できる状況でらっしゃると推察します。
術前に遺伝性乳がん卵巣がん症候群と判明された場合は、乳がん手術の際に全摘手術の選択や、病気のない対側乳房も同時にリスク低減手術として乳房全摘することも検討いただきます。
病院の諸事情により両側同時に手術できないこともあるかもしれません。
また、私達のブログでもご紹介しましたが、初発の片側の乳がんで温存手術ができる条件では、遺伝性があるからと言って全摘をしなければならないということではありません。ただ、これからのまた乳がんができるかもしれないリスクや、一度で手術がいろいろ可能であるメリットとデメリットを考えて両側乳房全摘も選択肢としてあるわけです。
乳頭乳輪温存での手術では乳頭の下に少量の乳腺が残りますので、またそこにがんが起こる可能性は知っておいていただく必要はありますが、大変にリスクが高いわけではありません。もちろん、再建手術を選択されてもステージ2までの方では治療成績への影響はないと考えられますし、当然に検討いただける手術方法です。もし、育児などで時間が取れないことなどを考えられるのであれば、温存手術を選択しておいて、数年のうちに検査を受けながら改めて両側のリスク低減手術や再建手術を考えるという方針もあるかと思います。
環境や価値観、人生のステージに応じて、不利益がないように担当の先生としっかりご相談なさってください
文責:広島大学病院乳腺外科 恵美純子