脳への転移について放射線治療をしたら脳壊死による浮腫になりました。手術もしくは抗がん剤を勧められていますが、どうしたら良いでしょうか?

2020年11月2日   

6年前に乳がんになりました。又2年前に、脳に転移をしました。かなりの大きさでしたので、ガンマナイフの治療を続けました。
先日指がこわばりMRIの診断の結果  放射線壊死による、ひどい浮腫でした。お薬を40日間飲み、良くならなければ、手術又はピンポイントの抗がん剤治療だと、いわれました。まだ、保険がきかないらしく困っています。脳外科は、ガンマ専門と乳腺科のある病院の2か所に通ってます。乳腺科のある脳外科は、お薬を出して頂くだけですので、先生がよく代られます。そんな状態の脳神経外科で、手術を受けることはとても不安です。まだどうしても、頑張って生きたいと思いますが、どうしたら良いでしょうか、どうぞ宜しくお願い致します。

ご質問ありがとうございます。

放射線脳壊死の診断は非常に難しいことが多いです。これは、脳壊死なのか再発なのかの鑑別が困難なことも多く、また、両者(再発と脳壊死)が混在している場合もあるためです。脳壊死の治療として一般的に行われるのはステロイドの投与です。今回のお薬も恐らくステロイドのことと思われます。脳壊死による症状が増悪する場合やステロイドの効果が見られない場合には手術を行うこともあります。手術適応については、脳壊死を起こしている場所が手術可能な部位かなど、脳神経外科の先生に判断していただく必要があります。また、保険がきかない抗がん剤とはベバシズマブという薬のことと思われます。ベバシズマブは放射線脳壊死の治療に有効であることが報告されていますが、脳壊死の治療薬として承認されているわけではないため、保険診療として行うことができません。

したがって、今回、提示されている治療は放射線脳壊死の治療として適切な治療法と考えます。ただ、脳の手術を行うことを不安に感じられることは当然のことと思います。脳神経外科の先生や主治医の乳腺外科の先生にそのお気持ちを正直にお話しし、納得いくまで治療についてご相談されるのが良いのではないでしょうか。

 

文責:広島大学病院放射線治療科 西淵いくの