自家組織再建後の妊娠はリスクがあるのでしょうか?

2020年11月9日   

初発(温存+放射線)と同じ側に再発し、全摘手術を予定しています。
整容性やメンタル的なことを考えて全摘と同時に遊離腹部穿通枝皮弁法での再建を希望していますが、資料やネットには妊娠希望者には「適さない」と必ず書かれています。乳腺の先生は妊娠を希望するのであればやはり「適していない」と、ただ、形成外科の先生は(妊娠時に多少のリスクはあるが)きちんと経過を管理すれば問題ないのでは、とのことでした。
そもそもこの手術を受けた方の妊娠、出産に関する資料が乏しく、「適さない」という表現を自分がきちんと理解できているかがわかりません。出産事例や術後の必要なケアなどがありましたらお教えいただけませんでしょうか。
欲張ることはよくないと分かっていますが、ベストだと思う方法を選択したいし、可能な限り妊娠も諦めたくありません。
回答どうぞよろしくお願いします。

腹部自家組織(特に腹直筋皮弁)による乳房再建術が妊娠・出産希望の患者様に適さないと言われる理由としては、下腹部に傷ができる、腹壁が弱くなる等が考えられます。禁忌ではないため「適さない」という表現となっています。
海外の文献では腹部自家組織による乳房再建術後の妊娠・出産(経腟分娩・帝王切開)の報告はありますが、日本では現状、施設・医師により意見が分かれます。主治医の先生の仰る通り妊娠中・出産時の管理も必要となりますので産婦人科医の協力も必要となります。
腹部自家組織再建術後の妊娠・出産時のリスク、腹部以外の組織採取部位の検討、再建時期(一次一期・一次二期など)を併せて主治医(乳腺外科・形成外科・産婦人科)とよく相談して頂ければと思います。
文責:広島大学病院形成外科 佐々木彩乃