術後4年で多発骨転移、肺転移、皮膚、リンパ節転移が見つかりました。今後の治療について教えてください

2021年7月6日   

検診で発見された右乳腺腫瘍で、乳房全摘術を受け、上皮内癌(HER2スコア1、ER陽性、PgR陽性)の診断であったため、左乳腺のマンモトームを年一度受けるというだけで術後の治療や検査はなく、引っ越しのため手術とは別の病院で見てもらっていました。術後3年頃から肩の痛みや腰痛がありましたが、整体に通ったりしていました。術後4年(2カ月前)に腰痛や背中の痛み、腕、足、眼の軽い痛みがでてきましたが、放置していました。2週間前にレントゲンで肺の影を指摘され、先週、画像検査を受けたところ、多発骨転移、肺転移、皮膚、リンパ節転移とのことで、数えきれないほどの転移巣です。骨盤や脊椎の骨折の危険があるため、安静にしながら、仕事を続けています。今週、首の皮下腫瘤(左後ろ、ここ1週間で少し大きくなっています)の生検をして病理の確定をし、その後、内分泌療法や放射線療法を行うとのことです。今は無治療で、毎日痛みが強く、広くなっていき、胸水も増え、下痢や食欲不振も出てきて、とても不安なため、こちらのサイトで質問させていただきます。質問は、①病理の結果が分かったらすぐに(1-2日中に)治療を開始でき、症状が良くなるのでしょうか、②今回の生検の検体で、HER2やホルモンだけでなく、遺伝子パネル検査などを調べてもらうのはいかがでしょうか。どうぞよろしくお願い申し上げます。

多発骨転移、肺転移、皮膚、リンパ節転移
① 組織検査でのサブタイプ(ER, PgR, HER2)が判明すればすぐに治療を行うことは可能だと思います。サブタイプによっては全く異なる薬剤を使うことになるため、結果が出るまで不安だと思いますが、今は対症療法(症状をとる治療 例えば痛みがあれば鎮痛剤、下痢があれば整腸剤など)を行いながら結果を待つのが良いでしょう。
② 遺伝子パネル検査のお話が出ましたが、現在保険適応となるのは「標準治療がなくなった、なくなりそうな癌の方」が対象となります。
乳癌に効果のあるお薬はたくさんありますし、サブタイプである程度効果のある薬を使用することになるのでまずは標準治療をしっかり受けることが大事だと考えます。
予想外の転移や辛い症状で不安や心配もあるとは思いますが、今の主治医の先生や看護師、薬剤師などにもわからないことは質問して、これから決まる治療に備えましょう。
文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行