遺伝性乳がんです。乳房全切除を予定していますが、乳輪乳頭を残しても大丈夫でしょうか?

2020年10月27日  , 

異時性両側乳癌で四年前に右側を温存し、放射線とハーセプチン治療、今は左側でトリプルネガティヴで抗がん剤治療中です。遺伝子検査の結果陽性でした。
手術方法で教えて頂きたいです。左側全摘術と、右側の予防切除で同時再建をする予定なのですが、全摘の方法は、乳輪乳頭を残す全摘でも大丈夫でしょうか。シコリは術前抗がん剤で、エコーでは分からなくなっています。小さい子が居るので、乳輪乳頭まで切除するのが不安なので、残しても命に変わりないのなら残したいのですが、遺伝性の場合は危険でしょうか。また、卵巣の予防切除も同時に出来ると言われているのですが、体への負担は大丈夫なのでしょうか。早めの手術が望ましいそうで、何度も入院するよりは、一度に済ましてしまった方がよいのでしょうか。よろしくお願いします。

ご質問をいただき有難うございます。

一般的に乳頭を残した場合、全摘と比較して治療成績(局所再発割合や遠隔転移割合)に差を認めないことが報告されています。しかしながら、乳頭部に遺残した乳腺からの再発の可能性はわずかながら(0~2.7%)残ることを了承いただく必要があります。

また、乳頭乳輪壊死の合併症が2.8%と少ないながら報告されていること、乳頭の位置に左右差を生じる可能性があり、整容性が劣る場合もあります。

遺伝性乳がんについても同様の見解となっています。これらの所見を参考に乳頭温存についてご検討いただけたらと思います。よろしくお願いします。

 

文責:呉医療センター中国がんセンター乳腺外科 重松英朗