非浸潤性乳管癌で皮下乳腺全摘、リンパ節への転移なしの場合の一般的な術後治療について教えて下さい

2020年1月14日  , 

昨年12月皮下乳腺全摘&一次一期再建をしました。先日病理検査の結果が出て、非浸潤性乳管癌、リンパ節への転移なしとのことでした。サブタイプは近々わかるそうです。手術の執刀医は「無治療でもいいのでは」との事ですが、今後は別の専門医と交代して話す予定です。そこで質問ですが、非浸潤性乳管癌で皮下乳腺全摘、リンパ節への転移なしの場合の一般的な術後の治療について教えて下さい。特にホルモン陽性/陰性によって治療が変わってくることがあるのか。そもそも全摘しているのでホルモン療法は必要ない等が知りたいです。どうぞよろしくお願いします。

非浸潤性乳管がんは「ステージ0」であり、十分な切除を受ければ再発の可能性は少なく、非常に予後良好です。術後治療についてですが、皮下乳腺全摘(乳房全切除術)を受けておられるのでしたら、サブタイプに関わらず術後治療は必要ありません。

参考までですが、非浸潤性乳管がんに対する術後のホルモン療法については、乳房温存療法後の場合は臨床試験が行われています。温存乳房内再発と対側乳がんの発生を抑えることが確認されています。乳房全切除後の場合は、手術側の再発リスクはより低くなり、治療効果は期待できません。対側乳がんの多くは、今回の病気とは別に新しくできる乳がんであるため、今回治療された病気のサブタイプはあまり関係ないかもしれませんが、術後ホルモン療法により発生が1~2%減るかどうかです。乳房全切除後の方は、術後ホルモン療法のメリットが少なく、臨床試験には該当しません。

 

文責:広島大学病院乳腺外科 笹田伸介