5年前からあったしこりがトリプルネガティブ乳がんと診断されました。進行が遅いのでしょうか?

2020年6月14日   

私は、6月にトリプルネガティブ ステージII 核グレード3、ki67 50 原発巣の直径18mm リンパ節転移 25mmと診断されました。リンパ移転の方のしこりが原発癌より大きいのですが、リンパのしこりの大きさは予後に影響しますでしょうか。なぜリンパのしこりの方が大きいのでしょうか?

トリプルネガティブは、再発すると余命が月単位と聞いてますが、私のしこりはかれこれ、5年はありました。ずっと、乳がん検診で粉瘤だと診断されてましたが、このような場合の進行度は、どのように考えればよいでしょうか。進行が早いはずの癌が年単位で、胸にあったのは、途中で悪性度が変わったと考えれば、よいのでしょうか。

「このしこり前からあったんですけど・・」というおはなしは診察室でよく聞きます。一般的に、乳がんは1年間で直径が倍になると言われています。Ki67も50%あるので、そこそこ増殖は早いと考えられますので、5年前からあったとは一般的には考えられません。5年前と現在の腫瘍は同じものかどうか、誰にもわかりませんが、違うものではないかと考えられます。粉瘤は、皮下組織にできる腫瘤なので、乳がんとの鑑別は容易ですし。途中で悪性度が変わるかどうかは、乳がんで何もせずに定期的に観察した例がないので、なんとも言えないです。原発巣よりもリンパ節転移の方が大きいことは時々あります。そもそも乳がんの中で悪性度が高い部分が転移していきますので、そういうことがあってもおかしくないと思います。とにかく、化学療法が重要ですので、しっかり主治医の指示通り頑張って下さい。

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行