タモキシフェン内服中ですが、子宮内膜症とチョコレート嚢胞ができて手術予定です。薬を中止したら治るでしょうか?
2020年10月8日 ホルモン療法
浸潤性乳がんで術後タモキシフェン を服用して三年目になります。
タモキシフェンを服用のため定期的に子宮の検査を受けていました。
先日、左卵巣が5cmにはれているとのことでMRIをとりました。
結果は子宮内膜症とチョコレート嚢胞との事で今後手術の予定となりました。
ですが、不安もあって悩んでいます。
何か他のお薬に変更して卵巣が小さくなることは無いのでしょうか?
もし手術するならば浸潤性乳がんのため卵巣摘出は両側の方がいいのでしょうか?
閉経前乳がんのホルモン療法に使われるタモキシフェンは、子宮内膜に対してはエストロゲン様の作用があるため、子宮内膜を増殖させ、子宮体癌、子宮内膜症のリスクがあります。閉経前に他に使えるホルモン剤としては、トレミフェンという薬剤がありますが、これも同様の作用機序ですので、リスクは同様となります。なので、薬剤の変更というのは難しいです。女性ホルモンの影響を受け増殖するルミナルタイプの乳がんに対して、卵管卵巣切除術は,ホルモン療法が確立する以前から,乳癌再発予防の手段の1つとされていました。ただ、ガイドラインによると、エビデンスレベルとしては証拠不十分で、報告内容によって見解が異なっており、さらなる検討が必要とされています。
異常のないもう片方の卵巣をあわせて切除した場合は、女性ホルモンは閉経レベルとなり、閉経後乳がんに使えるアロマターゼ阻害剤も使用可能となりますので、選択肢は増えます。私自身はルミナルタイプの乳がんで45歳という年齢を考えると、卵巣摘出を勧めたいところですが、女性として卵巣や子宮の摘出というのは強い喪失感を覚えるケースもあります。このあたりは主治医の先生や婦人科の先生とも相談された方がいいと思います。
文責:ひろしま駅前乳腺クリニック 長野晃子