病理報告書に「浸潤がんの有無についてこの標本上では言及困難」と記載されていました。この場合術後の病理検査まで浸潤の有無ははっきりしないのでしょうか?

2020年11月14日   

先日乳がんと診断されました。腫瘍が既に5cm程の大きさになっているので、全摘出する予定です。病理報告書のコピーも渡されたのですが、「浸潤がんの有無についてこの標本上では言及困難」と記載されていました。この場合術後の病理検査まで浸潤の有無ははっきりしないのでしょうか?
またグレードは2とのことだったのですが、「MIB1(Ki67)陽性率が30-50%とやや高いので高悪性度との腫瘍とも考えられます」と記載されていました。
3年前に乳房に痛みを感じ乳腺外科でエコー検査をしたことがあるのですがその時は異常はなく、そこから3年しか経過していなのに5cm大の癌が発覚するということは、やはり悪性度が高いせいで進行が早いのでしょうか。

浸潤癌の有無が分からないケースには、①非浸潤癌の部分のみ採取されている ②浸潤を判断する腫瘍と正常乳腺との境界部が採取されていない の2パターンがあります。②の場合には画像診断で浸潤癌の可能性をある程度推察できますが、やはり術後の病理検査結果が出るまで確定はできません。

腫瘍の悪性度を示すMIB1陽性率は浸潤癌の部分で判断しますので、悪性度の評価もやはり術後の病理結果を待つこととなります。

5㎝の大きさとのことですが、非浸潤癌病変がメインであればある程度大きくならないと(超音波でも)わからないことがあり、また大きなサイズでも、ステージが進行しているわけではないことがあります。一概にサイズや生検結果だけで悪性度は判断できませんので、画像診断も含め主治医の先生によく聞いてみてください。

 

文責:県立広島病院乳腺外科 野間翠