アメリカ在住です。2020年1月に粘液癌の乳がん手術(断端陽性のため2月に再手術)、3月末から約1か月放射線治療を受けた後、現在タモキシフェン20㎎を飲んでいます。閉経後ですが粗しょう症が見つかったため、AIは使用できずタモキシフェンとなりました。高濃度乳腺で昨年の定期健診(3Dマンモ)で異常無し、7か月後に2.5㎝のしこりを自分で見つけたときはステージⅡでした。このためマンモグラフィーはあまり信頼できず、MRIを希望したのですが医師からは私には必要ないと言われました。
今後の検査は先日受けたマンモグラフィーと約半年後(来年1月)のエコーのみです。腫瘍内科医からは血液検査も必要ないと言われてます。
診察は約3か月毎に受けていますが、これだけの検査で問題ないのでしょうか?日本では頻繁に色々な検査を受けるようなのでとても心配です。(ステージⅡa, ホルモン受容体陽性, Her2陰性、オンコタイプDx 再発スコア10、9年以内遠隔転移の可能性 3%です)
日本とアメリカとでは医療体制が異なります。アメリカでも保険により診療の選択肢が変わってきますので一概には言えないのですが、日本の保険診療の情報を元にお答えします。まず、乳癌術後の定期検査として有効というエビデンスがあるのはマンモグラフィのみです。このことからアメリカでは採血は行わず、マンモグラフィと通常の診察のみを行うことが多いようです。日本ではそれに加え採血や超音波検査を行うことが多く、これらは保険診療でも認められています。
MRIの定期検査が保険診療として公に認められているのはBRCA陽性が判明した方のみで、そうでない方は乳癌を疑う場合に精密検査の一環として行われることが多く、定期検査に用いることはありません。(自費診療で全額負担する場合にはもちろん自分の希望でMRIを受けることが可能です)デンスブレストに対しては日本では超音波で対応可能と考えることが多いです。診療には必要・不要の判断とは別に保険診療可能かどうかの縛りが大きくかかわってきますので、
国により異なるのは致し方ないかと思います。現在の診療もエビデンスに則ったものですので、それに沿って行いつつ、MRIの希望があれば自費診療の選択肢も考えられたら良いと思います。
文責:県立広島病院乳腺外科 野間翠