乳癌の内胸リンパ節再々発の治療方針について教えてください

2020年12月15日   

2017年8月に左乳がん(ステージ1ルミナルA、リンパ節転移0、12mm)を温存手術し、放射線治療25+5回、ホルモン療法(タモキシフェン服用)と標準治療をしていた中に、2018年12月左内胸リンパ節単発転移が判明しました。
2019年4月、呼吸器外科で胸腔鏡下縦隔リンパ節切除(13mm)をし、2週間後から抗がん剤治療(ddAC-t療法、4+4クール)を開始し、途中で組織診の結果、HER2陽転、ER(+)、PgR(-)と判明し、タキサン系にハーセプチン+パージェタを追加しての化学療法を行いました(分子標的薬18クール)。また分子標的薬の点滴のみになった、11月よりホルモン療法(アリミデックス服用)を開始していました。
2020年4月のPET-CTで、完全奏功との診断を受け、同年8月化学療法をすべて終了しました。3か月毎の定期検診となった10月の造影剤CTで所見があり、11月にPET-CT検査をしたところ、内胸リンパ節に再再発(再発時とほとんど同じ部位での局所単発再発、10mm)と診断されました。12月にCTガイド下生検を行い、細胞診の結果は悪性腫瘍、組織診待ちです。

今月中旬から抗がん剤治療が始められるように準備しており、その後の治療方針を主治医がいろいろな分野の専門医と話し合ってくださってますが、今のところ、以下のような状況です。
①組織診によって、特性に合った抗がん剤治療(点滴または経口薬)を行う。主治医は腫瘍内科なので全面的にお任せしています。
②抗がん剤で腫瘍が消えても、放射線治療をする。初回に左乳房にはMAX照射しているが、内胸リンパ節や鎖骨上下には照射していないので、再照射を検討中。リニアックでは肺野への照射が多く、副作用が心配なため、陽子線治療を行うことになるかもしれない。…がん保険に入っていないため、先進医療の治療費が負担ですが、必要ならば選択したいです。しかし、内胸リンパ節には一度も放射線治療をしていないので、IMRTやガンマナイフなどができるならば実施してもらい、陽子線治療は最後に残しておきたい気持ちがあります。
③領域内局所単発再発なので、再度手術を選択することも可能。乳腺外科では手術不適応なので、呼吸器外科で開胸し内胸リンパ節郭清し、胸骨、肋骨を一部削りチタンに置き換えるという手術になる予定。放射線治療との順序はどうなるのでしょうか。
④抗がん剤中は服用中止するが、ホルモン陽性が残っていれば、ホルモン療法の継続も検討する。その場合、どんな薬剤が選択肢でしょうか。

以上のような状況下にあり、私が選択する部分としては、①放射線治療はリスクを承知しての再照射か、陽子線治療にするか ②手術をするかどうか という点だと思いますので、専門医の先生方のアドバイスをいただけるとありがたいです。私としては根治を目指した治療に前向きに再挑戦したいです。お忙しい中に申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

ご相談いただき有難うございます。
提案されている①~④の選択肢はいずれも理にかなった内容であり、どれが一番優れているというのは決めることが出来ません。
しかしながら、根治を目指すというご本人の希望があるならば、③の手術療法が一番根治の可能性があると考えます。もちろん手術なのでご本人の負担はありますが、現在ある病変を確実に切除できます。手術後の追加療法(放射線療法や薬物療法)は手術結果からの検討になると考えます。
よろしくご検討のほどお願いします。
 
文責:呉医療センター中国がんセンター乳腺外科 重松英朗