強度変調放射線治療、陽子線や重粒子線治療は効果があるでしょうか?

2020年1月3日   

BRCA1変異陽性の30代です。脳や肺、骨、肝臓に転移しており、転移に対し、現在、放射線療法を行っていますが副作用が強くつらいわりにあまり効果がありません。術後に右胸壁50Gy,右腋窩-鎖骨上窩45Gy を照射し、脳転移に37.5Gy(2.5×15)、その他、最近は骨や肝臓に痛みが出るので、痛みをおさえるためにちょっとずつ何度も照射しています。強度変調放射線治療という方法があると聞きましたが、これは普通の放射線治療とは異なるのでしょうか?今の私の状況に効果があると思われますか?陽子線や重粒子線治療は効果があるでしょうか?いまさら抗がん剤?とは思うのですが他に何か効果のある治療はありますか?自費治療でも構いません。

ご質問ありがとうございます。

強度変調放射線治療とはコンピュータに複雑な計算をさせることで、放射線の出る強さ(強度)を複雑に変える(変調)ことができる照射法です。この技術により腫瘍への投与線量の増加と近接する正常組織への線量低減が可能となります。主に、前立腺癌や頭頸部癌で用いられています。今回のような疼痛緩和を目的とした放射線治療の場合に用いられる線量は根治照射で用いられる線量よりも少ないため、一般的に強度変調放射線治療が行われることはありません。また、陽子線や重粒子線も緩和照射には用いられません。

ご質問からは、疼痛部位が複数個所あるとお察しします。放射線治療は即効性がある治療ではなく、また、照射部位の痛みが軽減することで、他部位の痛みをより強く感じるようになることもあります。今回の場合には、まず、鎮痛剤による疼痛コントロールが重要ではないかと思われますので、主治医の先生とその点をよくご相談していただくのが良いのではないかと考えます。

また、放射線治療の副作用は、照射部位や照射線量により大きく異なりますので、ご質問内容のみでは詳しいお答えができませんが、適切な副作用対策を取ることで症状を軽減させることが可能な場合もあります。些細なことでも構いませんので、気になる症状があれば我慢をせずに放射線治療医に伝えていただくことが何よりも大切です。

副作用の割に効果が実感できないとのことで、放射線治療の意義を感じるのが難しい状況と思われますが、放射線治療は適切に用いれば非常に有効な治療です。放射線治療が少しでもお役に立てることを心より願っております。

 

文責:広島大学病院放射線治療科 西淵いくの