ホルモン陽性HER2陰性乳がんです。私の病理検査の結果から抗がん剤治療をするべきでしょうか?

2020年4月3日  , 

左胸に一か所22mmの浸潤がんが見つかり、今月乳房温存手術を受けました。術中にリンパ節転移3mmが1か所見つかり、郭清。病理検査結果はly+ v-、HG NG共にグレード3、ki67 22%、ER+ PgR+、HER2発現無しでした。先生も抗がん剤を使うかどうか悩ましいとおっしゃり、ki67 が22%と低め、また抗がん剤には弊害もあることから、今回抗がん剤を使用せずに、放射線治療後、タモキシフェン服用に追加してLH-RHアゴニストの注射をする予定となりました。
抗がん剤の副作用が強いイメージから、私もその場では先生に同意したのですが、その後インターネットで調べるにつれ、他院ではリンパ節転移が1か所でもあったり、核グレード3またはがんが2センチより大きい場合は抗がん剤治療だとか、ki67が15%以上は予後の悪い高値であるなどの情報を読み、抗がん剤なしで本当によいのか不安になりました。https://breast.predict.nhs.uk/の計算では抗がん剤を追加した方が、ホルモン療法のみよりも15年後の生存率が10%アップしました。
もう一度先生に相談して、この初回手術後に抗がん剤治療を受けておくべきでしょうか。再発してからではより治療が困難になるのではと心配です。

確かに術後治療の選択に悩まれるのももっともだと思います。Ki67・グレードは病理医間・施設間でのばらつきがある場合があります。ですので、その施設での今までの蓄積された成績を聞くことも必要と思われます。また、保険外診療になりますが、oncotype DXで化学療法上乗せの効果を検査する方法もあります。しかし、検査にお金と時間がかかります。ですが、前向きの臨床試験で結果がでております。まとめますと、もう一度主治医の先生に相談していただくことが必要だと考えます。

 

文責:広島総合病院乳腺外科 大原正裕