放射線治療の必要性について教えてください

2020年11月22日   

昨年11月に告知、12月から今年5月まで術前抗がん剤(ddAC+weeklyパクリタキセル)、7月に乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘手術をしました。

手術後の病理検査結果は、浸潤部は消えて非浸潤部が少し残っていましたが、リンパへの転移も確認されず、pCRと考えてよいとのことでした。
脇のリンパは、抗がん剤前にCTで小さな白い影がみつかり、針生検しましたが陰性、術中センチネルでも陰性でしたが、念のためレベル1を浅く郭清したとのことでした。
ルミナルBタイプのため、現在はタモキシフェンを服用しています

そこでお伺いしたいのは、主治医は放射線までは必要ないだろうとのことでしたが、放射線治療をすることによって、どれくらい再発転移防止の上乗せ効果が得られるのかということです。
また、率直に放射線治療が必要だとお考えになりますでしょうか。

ご質問ありがとうございます。

これまでの報告から、乳房切除後で腋窩リンパ節転移が4個以上の場合には術後放射線治療を行うことで局所領域再発を1/3~1/4に減少させるだけでなく生存率が向上することも示されており、腋窩リンパ節転移が4個以上の場合には術後放射線治療が標準治療となっています。腋窩リンパ節転移が1~3個の場合については、全生存率への寄与は明らかではありませんが術後放射線治療により局所領域再発の低下や乳癌死の低下が認められており、その適応については患者さんの状態や病理結果などを踏まえて総合的に判断されています。

今回のように術前化学療法を行った場合には、化学療法前の病期に従って術後放射線治療の適応を判断することがガイドライン上は推奨されております。今回は、化学療法前の針生検で陰性であることから化学療法前の病期としてはリンパ節転移がない状態と判断することとなります。また、センチネルリンパ節生検に加えレベル1の郭清も行われており、主治医の先生は腋窩リンパ節に対して非常に慎重に対応されておられると思います。したがって、術中のセンチネルリンパ節生検で陰性であり、郭清したリンパ節にも転移が認められないのであれば、主治医の先生の言われるように術後放射線治療を行う必要はないものと考えます。放射線治療の得失について詳しく聞きたいとのご希望があるようでしたら、一度放射線治療科を受診され、放射線治療医から直接説明を聞いていただくのも良いのではないでしょうか。

 

文責:広島大学病院放射線治療科 西淵いくの