経口抗がん剤とホルモン剤は併用した方が良いのでしょうか?

2021年4月3日   

2020.7月に乳がん告知を受けて、検査結果は、乳管癌・ルミナルB・ホルモン陽性・グレード1となり、術前化学療法ddAC×4。その後パクリタキセル×12。温存でいけると言われたのですが全摘にして欲しいとお願いして2021.1月に当初の予定通り腋窩リンパ郭清もしました。
オペ担当の先生から術後に『リンパの腫れ具合や年齢的にも、放射線治療とホルモン治療と経口抗がん剤で万全の治療をした方が良いと思う』と言われ全ての治療の覚悟を決めました。
しかし、数週間後、主治医から病理結果の話しの時に、リンパの単位が11個中ゼロ。残存も1ミリほど…の点から、迷ったけれど放射線はやらないで経口抗がん剤とホルモン治療にします。術前の抗がん剤がものすごく効果が有った。と言われました。グレードは2にアップしました。
オペ担当の先生からの治療方針の事を主治医に言ったら、まだ病理結果が出ていない時のお話しだったからね。放射線も当然副作用も有るし、無しで大丈夫!と言われ主治医を信じて経口抗がん剤とホルモン剤で現在治療中です。

過去の質問で、経口抗がん剤とホルモン剤の併用の治療は少ないとの答えを見つけました。

ki67は調べていないと言われました。
脈管侵襲の有無は怖くて聞けませんでした。
経口抗がん剤は『カペシタビン』
ホルモン剤は『レトロゾール』です。
私は再発転移の確率が高いのでしょうか。
経口抗がん剤とホルモン剤の併用治療についてどうお考えになられますか?

ご質問ありがとうございます。

ホルモン陽性HER2陰性ルミナルB乳がんで、術前化学療法のあと、乳房切除術(全摘)+腋窩リンパ節郭清を行い、その結果、pCR(病理学的完全奏効)に近かったが、わずかに腫瘍の残存がありpCRにはなっておらず、術後に経口抗がん剤(ゼローダ)+ホルモン療法を行っているという状況ですね。

術前化学療法後にpCRとならなかった場合には再発リスクが高いことが知られています。CREATE-Xという臨床試験では、そういった症例(HER2陰性乳がんで標準的な術前化学療法後にpCRとならなかった症例)に対し、経口抗がん剤のゼローダを標準治療に上乗せすることで予後が改善したという結果でした。

この治療は現時点ではまだ標準治療ではありませんが、今後標準治療となる可能性がある治療です。

質問者様の場合はこれに該当しており、標準治療のホルモン療法に加えてゼローダを投与しているのだと思います。

投与方法は、ゼローダを6-8コース投与後に、ホルモン療法を行う、順次投与で良いと思いますが、ホルモン療法とゼローダを併用することも許容されていました。

そのうえで有効性は確認されておりますし、ゼローダに関連する手足症候群や下痢等の有害事象は認めるものの、適切な対策をすることで十分に継続可能と思われますので、治療を継続されたらと思います。

 

文責:尾道総合病院乳腺外科 吉山知幸