術前化学療法を行えなかったホルモンレセプター弱陽性トリプルトリプルネガティブの術後の治療方法を教えて欲しいです。

2022年11月22日   

術前の組織診で非湿潤癌(ER80% PgR0% HER2 陰性 Ki67 15%)だったので、左乳がんの全摘術をしました。病理診断の結果、腫瘍サイズは60×24mm 湿潤癌のサイズが28×24mm 充実腺管癌 核グレード2 ER5% PgR0% HER2 0 Ki67 39.8% センチネルリンパ節生検3個は転移なし、リンパ節郭生はなし
トリプルネガティブと診断され、ddEC4クール Weeklyパクリタキセル 12回の予定です。遺伝子検査も予定しています。PDL1については、確認出来ていません。術前化学療法を行ってないので、化学療法が終われば、経過観察になると言われています。ホルモン療法も期待はできないとのことです。遺伝子検査が陽性ならばリムパーザなどが使えるとのことですが、ゼローダは術前化学療法をしていない人には術後は使わないとのことでした。術前化学療法を行えなかったホルモンレセプター弱陽性トリプルトリプルネガティブの術後の治療方法を教えて欲しいです。PDL1陽性ならキイトルーダなどは使えますか?

現在受けておられる治療が標準治療となります。ER弱陽性乳癌に対するホルモン療法の効果は不確実であるため、トリプルネガティブ乳癌に準じて化学療法を施行します。化学療法としてアンスラサイクリンとタキサン系化学療法の順次投与が標準治療となります。ゼローダは基本的に術前化学療法を施行し病変の遺残を認めた乳癌に対して投与します。

また今回の場合、キイトルーダを使用することは出来ません。キイトルーダの使用については保険診療でルールがあり①ER陰性、PgR陰性、HER2陰性であること(この場合はER弱陽性なので適応外となります)②術前化学療法から決められたレジメンで使用すること、が条件となります。

 

文責:呉医療センター乳腺外科 重松英朗