私が遺伝性乳がんであることを娘に知られたくありません。知らせるべきでしょうか?

2020年5月7日   

母や叔母が乳がんだったので私もいつかは、、、と思っていたらやっぱり40代で乳がんになり、左右の乳房を切除して抗がん剤して今は元気に過ごしてます。
私は、以前、主治医の先生の勧めで治験に参加して遺伝子検査をし、BRCA2遺伝子が陽性と言われています。このことを夫は知っていますが娘達は知りません。ただ、娘は看護師なのでいろいろ調べて気づいているかもしれません。今年、上の娘の結婚が決まっており、お相手は職場で一緒に働く外科の先生(乳がんの専門ではありません)でいうべきかどうか悩んでいますが、親としては知られたくない気持ちです。
こういう場合、親として内緒にしておくべきではないのでしょうか?隠しておくことでどんな問題がおこるんでしょうか?もちろん、娘達には大学入学後から自己検診をさせてますし、大学卒業後は検診に行かせてます。ここで聞くことではないかもしれませんが、だれにも相談できずお聞きしてみたいと思いました。
乳がんの患者さんをたくさんみられているお立場として、また、一人の親としても何かアドバイスをもらえたらうれしいです。
よろしくお願いします。

お悩みをご相談いただきありがとうございます。
おひとりで考えられるのは非常にお辛いかと存じます。
治験に参加してBRCA遺伝子に変異陽性と判明した時に遺伝カウンセリングはお受けになりましたか?遺伝カウンセリングは検査を受ける時や結果開示の時だけ行われるものではありません。
特に、ご自身のように遺伝性乳がん卵巣がん症候群と判明した方ではその後もご自身の治療やリスク低減手術、検診方法などのご提案とともに、血縁者の方への情報提供についても一緒に考えていくことが非常に重要です。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群とお分かりになった時、お子さんやご兄弟のこともお考えになったかと思います。
病気になるリスクと、リスクを知ることによるデメリットをいろいろ考えながらいろんなことを判断していく必要がありますね。おひとりで考えるのは大変に荷が重いことです。お子さんの現在のタイミングよっては「結婚や出産の障害にならないだろうか?」と当然考えられるかと思いますしご年齢によっては、ちゃんとリスクを知ってご自身と同じようにがんで命を失わないための対策をとるべきタイミングもあると思います。
「知られたくない」というお気持ちは正直なお気持ちだと思います。
ただ、「どうして教えてくれなかったの?」という方もいるかもしれません。
そういったことを含めて相談していくのが「遺伝カウンセリング」です。
もし、一度も遺伝カウンセリングを受けておられない場合は、結果が判明した時にカウンセリングのご案内もあったはずです。
治療をうけられている病院でもご案内できるはずですので、是非、ご相談なさってください。
もし、ご希望などあればこちらでもご紹介できますのでご相談ください。
文責:広島大学病院乳腺外科 恵美純子