1ミリ未満の浸潤がんで術後無治療は大丈夫なのでしょうか?
2020年10月23日 ホルモン陽性乳がん
8月に右乳房全摘手術を受けました。術前はステージ0でしたが、最終病理で1mm未満の浸潤が1ヶ所
(T1a NO MO stage1)ER+ PgR+ 脈菅侵襲なし 核異型度1 リンパ転移なし
今後の方向性としてホルモン治療もあるが、無治療の場合とあまり
1ミリ未満の乳がんが遠隔転移する可能性は極めて低いと思います。が、ゼロではありません。私の経験上、広範囲の非浸潤がんの方が胸骨傍リンパ節に転移したからもう一度病理を見直したら、2ミリの浸潤がんが見つかったということがあるように、浸潤がんが全くないと言い切るのは難しい場合もあります。病理診断の際には、5ミリごとに標本を切って調べるので、その切片の間に入ってしまえば、小さい浸潤がんは見逃されることもあるでしょう。
ですから、非浸潤がんの場合でも、ある程度(2センチくらいを目安にすることが多い)の範囲があれば、ホルモン療法をする先生も結構おられます。それは、上記のように完全に浸潤がんの存在を否定できないことと、ホルモン療法をすることで、新たな乳がん発症を抑制できることこともあります。
質問者のケースでは、ホルモン療法を選択されるケースが多いのではと考えます。しかし、効果と副作用を比べると、割に合わないような気もします。その辺りは主治医と患者との価値観になります。絶対に内服した方がいい、絶対にしなくていい、というケースではありませんので、どちらか自分の考え、価値観に近い方で良いと思います
文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行