乳房再建術後に左腋窩リンパ節再発をしたので、リンパ節郭清をしました。今後、腋窩などに放射線治療をしたほうがいいのか迷っています

2021年1月23日   

2011年の10月に、初発で左胸の乳がんの手術をしました。乳房再建を希望しておりましたので、皮下乳腺全的手術→乳房再建を実施。センチネル陰性でステージはⅡB。ルミナルAでした。その後、抗がん剤と放射線はやらず、ホルモン療法(タモキシフェンのみ)を5年服用。

2020年2月に左脇リンパ節に局所再発が判明→3月に腋窩リンパ節郭清 ki67=30%(オンコタイプで抗がん剤上乗せ効果15%ありの判定)
7月からddEC療法(4クール)→ddパクリタキセル(4クール)→11月からホルモン療法10年開始→現在に至ります。

ここからなんですが、これから放射線治療をやるかやらないかで、今非常に悩んでいます。(左鎖骨上部と左胸壁全体)
主治医の先生の話だと、私のような腋窩リンパ節単独再発で放射線治療を実施したエビデンスが無いので、強く推奨は出来ないとの事でした。放射線はあくまでも念のため。
私はシリコンでの乳房再建もしているため、照射すると皮膜拘縮になり、シリコンの入替えになる可能性が高いとの事でした。

これらの事を考えると、最終的には本人の気持ち次第との事でしたので、セカンドオピニオンを受けたところ、そちらの先生は、抗がん剤とホルモン療法で充分ではないか?との意見でした。

自分としては、もう再再発は絶対にしたくない気持ちが強いので、念のためでもやるべきなのか?という気持ちもありますが、色々考えると不安になる気持ちも多く、どうすべきなのか分からなくなってきました。

何か助言いただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。

ご質問ありがとうございます。

腋窩リンパ節単独再発については、十分な科学的根拠に基づいた治療法は確立されていないのが現状であり、乳癌診療ガイドラインでは、“腋窩リンパ節単独再発は,摘出が可能であればリンパ節切除術を行い,放射線照射の既往がなければ術後照射も考慮する。”と記載されています。また、照射範囲についても、胸壁再発がなく腋窩リンパ節単独再発の場合に、鎖骨上領域に加えて胸壁にも照射を行う必要があるかについても明らかではありません。

先程も述べましたように腋窩リンパ節再発に対する腋窩郭清後の術後照射の意義は明確ではなく、術後照射を行うかどうかは、ご質問にあるように、再発予防効果とリンパ浮腫などの有害事象発症リスクとの兼ね合いになります。したがって、術後照射は手術により完全切除ができなかった場合(=腫瘍の残存がある場合)など再発リスクが高い場合に行われ、完全切除されている場合には術後照射を行わずに経過観察となることが多いのではないかと思います。

今回、詳細な病理結果は不明ですが、完全切除ができており、かつ追加の薬物療法もしっかり行われているため、主治医の先生やセカンドオピニオンの先生が積極的に術後照射をお勧めされないのではないかと推察いたします。

術後照射を行わなくても絶対に再発しないわけではないため、最終的にはリスクとベネフィットを踏まえてご自身で決断していただかなければならないとは思いますが、少しでもご参考になれば幸いです。

 

文責:広島大学病院放射線治療科 西淵いくの