トリプルネガティブで術後の経口抗がん剤の種類について教えてください

2021年5月24日  , 

2020年7月にトリプルネガティブ ステージIIbと診断されました。
・術前化学療法 8月〜 ドーズデンスEC 2週ごと4クール
10月〜 ドセタキセル  3週ごと4クール
・手術 2021年1月5日 右乳房全摘+右脇窩リンパ節郭清(レベル2まで)
組織型:アポクリン癌
癌の大きさ:1.4cmx1.9cmx0.8cm
切除断片の状態:陰性(癌は取り切れている)
リンパ節転移の状況:15個切除、うち転移は2個
脈管侵襲:リンパ管侵襲有り、静脈侵襲なし
波及度:乳腺、脂肪
核グレード:1
ホルモン感受性:なし
HER2蛋白の発現:2+ HER2FISH
Ki-67:10%
・放射線治療 2月15日〜3月22日 1回2グレイx25回
・経口抗がん剤服用開始 3月23日〜4月20日 エスエーワン配合OD錠T25 25mg(実際はテガルール25mg・ギメラシル・オテコラシル配合口腔内崩壊錠)を1日2回朝・夕食後服用

以上で、現在次の服用まで休薬中です。4週間服用して2週間の休薬のため、本来なら5月3日診察で、2クール目が始まるところですが、GW中のため次回診察は5月10日になっています。
このTSー1の副作用で、服薬3週間目くらいから胃腸の調子が悪くなり、胃痛(心窩部通)と下痢、味覚障害などで食べられなくなり、体重も40キロを切る手前(手術前は43キロ、健康時は48キロ)までになり、乳腺外科でロペラミド錠1mgとラベプラゾールNa錠10mgを処方してもらい、様子を見ることになりました。
お蔭さまで、現在胃の状態は落ち着き、味覚障害は残っているものの、通常の食事ができています。
5月10日の診察時に、この状況を説明して、薬の量と休薬について相談するつもりです。

そこで質問ですが、私が調べる限り、トリプルネガティブの術後抗がん剤は「ゼローダ」とされていますが、私はTSー1です。これにより再発率が高くなることは考えられますか?
ゼローダは副作用の症状(下痢、手指症候群など)が強く出るようなので、TSー1で耐えられないとなると、ゼローダの服用は難しいでしょうか?
主治医の先生を信頼しているため、自分で得た情報は情報として、標準治療中は先生の診断に従うつもりでいますが、次回診察で先生質問するためにもご意見を頂けると幸いです。
よろしくお願いします。

ご質問ありがとうございます。

ゼローダとTS-1は同じフッ化ピリミジン(5-FU)系の内服薬で、どちらも乳がん術後のエビデンスがありますが、トリプルネガティブタイプに対してはご指摘のようにゼローダによって臨床試験が行われ有効性が証明されています。ご心配されている再発率に関しては、TS-1と比較したデータがないのではっきりしたことは言えませんが、再発乳がんに対する両薬剤の効果を考えると差はないでしょう。ただ、質問者様は治療開始早期に副作用が強く出ておられ、減量や休薬なく継続することは難しいように思います。ゼローダへの変更についてご相談されてはいかがでしょうか。TS-1も含めた5-FU系薬剤は時に下痢などの粘膜障害が強く出ることがあり、代謝酵素の活性に大きな個人差があるためと考えられています。ゼローダでも下痢はみられますが、TS-1と代謝経路が異なるので同じような症状が出るとは限りません。また、頻度の高い手足症候群(皮膚炎)は保湿や生活での注意を行えばコントロール可能と思います。主治医の先生とご相談ください。

 

文責:県立広島病院臨床腫瘍科 土井美帆子