局所再発部分の手術と卵巣除去手術について

2021年12月9日   

6年前に乳がん(ER陽性HER2陰性)が見つかり、左乳房全摘出手術(リンパ転移なし)その後、ホルモン療法(タモキシフェンを4年半服用)していましたが、1年半前に再発。局所再発と骨転移(背骨、骨盤など8か所)です。
当初、局所再発部を手術して取り、放射線治療をする予定でしたが、ロックダウンの影響で(オーストラリア在住です)、手術を受けることが出来なくなり、現在、ホルモン療法(アナストロゾールとゴセレリン注射)と分子標的薬(パルボシクリブ(イブランス))を服用しています。
先日、担当の先生が休みだったので別の先生から、「毎月、ゴセレリン注射を受けるより、手術をして卵巣をとってしまえばいいのに」と言われました。また、「一生、注射を受け続けなければならない」とも言われました。担当の先生は手術はあくまでオプションだと言っています。

質問①手術をして卵巣をとってしまったほうがいいのでしょうか?
質問②生きている間はずっと注射を受け続けなければならないのでしょうか?
”閉経している”がどうかの確認は血液検査でできると聞きました
質問③もし閉経しているのなら、もう注射は受けなくてもよいのではないでしょうか?

現在51歳なので、年齢的にも閉経しているのではないかと思います。ちなみに、治療を始める前は、不定期ながらも生理がありました。
質問④ロックダウンの影響で受けられなかった局所再発部分に対する手術や放射線治療は受けたほうがいいのでしょうか?
担当の先生からは分子標的薬を飲んでいるので全身に効いているから、今のところ手術をしなくても大丈夫だと言われています。
よろしくお願いいたします。

コロナ窩の中、再発治療をうけられご心配のことと存じます。主治医の先生とよくよくご相談の上検討されてください。

質問①手術をして卵巣をとってしまったほうがいいのでしょうか?

日本乳癌学会診療ガイドラインでは下記の様に記されており、手術も薬剤による卵巣機能抑制も同等とされております。

https://jbcs.xsrv.jp/guidline/2018/index/yakubutu/y2-bq-3/

質問②生きている間はずっと注射を受け続けなければならないのでしょうか?

質問③もし閉経しているのなら、もう注射は受けなくてもよいのではないでしょうか?
閉経について、ホルモン値E2 FSHの測定によって検査することはできます。しかし、ゴセレリン投与中ですので閉経を確認するのは困難であります。もし、閉経しているのであれば ゴセレリンの注射は必要ありません。

質問④ロックダウンの影響で受けられなかった局所再発部分に対する手術や放射線治療は受けたほうがいいのでしょうか?

全身療法にくわえて、根治を目指した局所療法が予後にあたえる影響については、はっきりとした証拠はでていません。

以上簡単ながらご返事いたします。主治医の先生としっかりご相談してください。

文責:広島総合病院乳腺外科 大原正裕