トリプルネガティブステージIと診断されましたが、これからの治療選択と手術方法についてお聞きしたいです

2020年6月9日   

4年前に右側乳がんになり、HER2陽性タイプ1.5センチのステージIで、術前抗がん剤、ハーセプチン、温存手術、放射線を行いました。術前抗がん剤の時点で、腫瘍は消えてくれました。経過観察で順調だと思っていた所、4月下旬頃から反対側の左胸にシコリを感じ、エコー、CT、針生検、MRIの結果、今度は左側に新たに癌が出来てしまったようです。
CT、エコー、針生検、MRIの結果だと、1.5センチの癌で、リンパの転移は明らかではなさそうですが、タイプが、トリプルネガティヴのステージIと言われてしまい、治るものなのか不安で不安で、どのような治療が最善なのかアドバイスを頂きたいです。
主治医は腫瘍内科と乳腺外科の2人の先生が居ますが、抗がん剤を術前にするか、後にするか悩んでいます。術前抗がん剤のメリットは抗がん剤で腫瘍が消えなかった場合、再発予防にゼローダという経口薬を使う事ができるということだそうです。術前ならば抗がん剤は明日から始められるそうです。手術先決にする場合は、来週には出来るそうです。どちらにしても、早く決めないとならないので焦ってしまいます。
腫瘍も1.5センチと今なら小さいので、術前抗がん剤と術後の抗がん剤どちらを選択すれば良いのでしょうか。
右側の時は、ハーセプチンを使えたので、抗がん剤も良く効いてくれ完全に消す事が出来ましたが、トリプルネガティヴだと、はたしてどのような抗がん剤が効くのか、効かない場合、癌を体に放置し、その間に他に転移してしまうのではないかと、1.5センチと小さいうちに早く取ってしまった方が良いのではないかと不安になってしまいます。右側の治療の時にも抗がん剤治療はしたのに、左側にも出てきたと言う事は抗がん剤が効かないのではないでしょうか
ステージIでも、術前抗がん剤をした方が、抗がん剤を変えたり選択が広がるのでしょうか。
トリプルネガティヴの情報は悪い事しか入ってこないのですが、根治を目指し長生き出来るのでしょうか。
また、手術方法ですが、私の場合4年前に右側温存術のため抗がん剤と放射線を使っていて、心臓のことを考えると左の場合は全摘の方が良いのではないかと言われました。両側を放射線照射するとなると、重なる部分があり危険なのでしょうか。遺伝子検査を検討してから全摘を選択しても遅くないのでしょうか。
手術先行となると来週には手術の枠があるそうなので手術方法も決めないとなりません。ですが、まずは抗がん剤を先にするか後にするか、抗がん剤を先にするとステージが上がらないか心配ですし手術を先にするとゼローダという薬の選択肢が減るのでどれが最善策なのか迷ってしまいます。
子供の為にもまだまだ生きていないとなりません。根治目指せる方法をよろしくお願いします

詳細にお教えいただき、本当にありがとうございます。
大変ご不安だと思います。以下が参考になれば幸いです。
まず、相談者さまの主治医の説明内容は、とても的確だと思います。
抗癌剤を術前、あるいは術後にすることもどちらも標準治療ですが、
近年の研究でトリプルネガティブ乳がんで術後ゼローダを追加で投与することで生存率が改善されるということが分かっています。
術前化学療法中は効果を判定しながら行いますので、抗がん剤に効かない癌が進行するというご不安よりもメリットの方が上回ると思います。
手術方法についても、手術を担当される先生から全摘をお勧められていることは同意見の乳腺外科医も多いと思います。
温存術を強くご希望の場合は、術前化学療法の効果や、放射線の照射についても考慮されます。
さらに、相談者様は
①最初の発症年齢が40歳以下であること
②時を隔てて反対の乳房にも発症する乳がん(「異時両側性乳がん」といいます。)
③この度の乳がんがトリプルネガティブであること
を考慮すると、今回の左乳がんを可能な限り根治確実な方法を選びたいです。従って、全摘を勧められているということだと思います。
そして、十分配慮されたカウンセリングのもと、遺伝子検査を考慮してよいと考えます。
これからの人生を乳がんの再発なく過ごしていくため、お子さんのために、治療が前に進みますようお祈りしております。
文責:広島共立病院乳腺外科 郷田紀子