画像検査では悪性と考えられましたが、針生検では良性でした。このまま経過観察していてもいいのでしょうか?

2020年6月9日   

:昨日、左胸の針生検の結果が出ました。良性と言われたのですが、全然信じられず不安です。エコーでも、素人が見てもわかるくらい、怪しい形でしたし、主治医も「血流があるね、(経過観察で半年ごとにエコーをしていた)大きくなってきたからには調べないとね」と言うくらい変化もありました。
そこで、すぐに造影剤MRIを行いました。そこでも、エコーで怪しいと言われていた部分が映し出されており、エコーでもMRIでも怪しい箇所は一致していました。また、造影剤が取り込まれる速度も速いと言われ・・・。これはもう癌だと思っていました。

でも、これだけでは癌確定には証拠不十分だから、マンモトームをしないといけないとのことでマンモトームも受けました。ただ、ここで思わぬハプニングが起きてしまいました。乳腺が硬くてマンモトームでは採れなかったんです。急遽、針生検に変更(パチンパチンと音がする機械)しました。
主治医からは「採れた量が少ないから、判定できなかったという結果になるかもしれない」と言われながら、病理検査の結果を待っていました。
判定は良性。喜ぶ気持ちより、判定できるかわからないと採取した主治医が言ってたような少ない量で本当に良性だといい切れるのだろうか・・・と不安の方が大きくなりました。
主治医は「良性と出たから、半年後にエコーで見ましょう」という感じであっさりしていました。私は、「手遅れになったら怖いので、三ヶ月後にしてください」と頼みました。癌は早期発見が一番です。リンパ転移になったらと思うと不安です

まして、私は1年8ヶ月前にも今回と同じ流れで、反対側の右胸で乳がんが発覚しているので(右胸の時はちゃんとマンモトームで採れました)、左胸も同じ経緯だし、癌に違いないと思っているので。
「良性と出ても、針生検だけの一部分では心配なので、全摘して下さい」と頼んだのですが、癌でない以上できないと言われました。
(※ 右胸は全摘。ルミナールA ステージIIa 閉経前のため術後タモキシフェンのみ)

先生も、タモキシフェンを飲んでいるのにできる癌だから、ルミナールAではないかもしれないねと、結果が出る前まで言ってたくらいなので、主治医も癌の可能性を感じていたはずです。なのに、病理医の「良性」ですの一言で、「良性なので、経過観察でいいです」と言えるのでしょうか?

長々となってしまい、申し訳ないです。
下記、お聞きしたい点を箇条書きにしました。

・エコーや造影剤MRIで癌のような画像と言われていても、良性の場合もあるのか。
・3~6ヶ月も要観察として放置して大丈夫なのか?
(次の癌がルミナールではない確率が高いなら、増殖速度や悪性度も高い癌のはずなので、リンパ転移しないか不安で焦ります。)
・針生検では、一部のみしかわからないのに、外科的生検は必要ないのか
(主治医は、要観察でいいとの判断でした)。

本来であれば「良性」と言われて喜ぶべきなのに、前回、もう少し手遅れだったら抗がん剤の追加もあったのではないかと思うくらい、大きな癌で、術前ステージと術後ステージが2段階もあがっていたことのショックがあり、早く見つけないと死んじゃう・・と焦る毎日で・・。本当に良性であり、切らずに済むことなのかもしれませんが・・・。

反対側乳癌のご経験もあり不安であろうとお察しします。診断には腫瘍のサイズや針生検結果の内容、画像所見、経時的な変化などあらゆる情報を総合的に判断しますので、質問者様の症例については何とも言えませんが、一般的なお答えをいたします。

・エコーや造影剤MRIで癌のような画像と言われていても、良性の場合もあるのか。

→乳管内乳頭腫や一部の線維腺腫(いずれも良性腫瘍)、乳腺症の場合でも悪性の画像所見を呈することがあります。

・3~6ヶ月も要観察として放置して大丈夫なのか?
・針生検では、一部のみしかわからないのに、外科的生検は必要ないのか

おっしゃるように針生検の一部から腫瘍全体の確定診断をつけることはできないので、良性であることの証明はとても難しいのです。針生検で「良性」の中でも推定組織型(線維腺腫など)がわかれば、その組織型と画像所見が合致しているかどうかで針生検結果が信頼できるかを評価します。また組織型によっては悪性成分を含む可能性があることもあり、その場合は気を付けて経過を見る必要がありますが、少なくとも腫瘍全体が癌というわけではないので、数か月で進行することは考えにくいです。たとえ悪性でも乳腺腫瘍は概ねゆっくり変化するため、あまり頻回にみているとかえって変化が分からないこともあります。3~6か月の間をあけることは妥当と思います。外科的生検は最近ではされることが少なくなってきました。これは画像診断と針生検の進歩によるものと考えられます。

 

文責:県立広島病院乳腺外科 野間翠