ドーズデンスEC初回投与1週間後の血液検査の結果で白血球数と好中球の値がかなり低いと言われました。続けても大丈夫でしょうか?
2020年8月19日 化学療法
トリプルネガティヴでステージⅡbと診断され、
診察時には分かったような気がしましたが、”ダブルで低い”
副作用そのものは、投与後2日ほど眠気が強く、
自分では特に辛いと感じる症状はありませんでした。
あと、
あまり心配する必要はないのかもしれませんが、
はじめに、白血球や好中球についての一般事項を説明します。
白血球は、外部からの病原微生物(細菌、ウイルスなど)や、花粉などアレルギーの原因物質、あるいは体内の悪性腫瘍や炎症に対する免疫反応により体を守るためにはたらく血液細胞です。白血球には、好中球(Neutro)、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球などがあり、好中球が主に細菌を殺菌します。
好中球についてはさらに分化(成長)段階があり、分葉核球(Segment)が最終形態です。最終形態の分葉核球によりしっかりとした殺菌作用がはたらきます。数値に単位が書いてありませんでしたが、白血球数が1.1というのは、おそらく1.1×103/μLのことだと思います。これは血液内に1マイクロリットルあたり1100個の白血球があるという意味です。通常3500-8500個程度なので、1100個は低いです。Segment(好中球分葉核球)、Neutro(好中球)が8.4というのは、おそらく8.4%のことだと思います。通常30-70%程度あるので、8.4%は低いです。白血球数1100個で、その8.4%が好中球ということは、好中球数は計算上92となり、かなり低いと思います。「ダブルで低い」というのは、白血球数も好中球数も低いということで、細菌感染に十分に注意しなければいけません。
また、リンパ球の78.7は78.7%ということで、好中球の割合(%)が減少すれば相対的にリンパ球の割合(%)は増加します。リンパ球はウイルスや細菌感染に対応しますが、リンパ球の割合が増加していても、白血球自体が1100と低下しているので、リンパ球数そのものは866で、決して多すぎるわけではありません。特に気にする必要はありません。
ドーズデンスEC療法→ドーズデンスパクリタキセル療法は非常に効果の高い治療法ですが、骨髄抑制(白血球・好中球減少、貧血、血小板減少)が問題です。好中球を増加させる作用のあるジーラスタという薬があります。併用されているかどうかわかりませんが、もし併用されていないのであれば、ジーラスタを併用し白血球・好中球減少を予防しながら、治療を続けていくのがよいと思います。ただしジーラスタは高価ですので、主治医の先生とよく相談しながら、治療を続けてください。
文責:尾道総合病院乳腺外科 吉山知之