オンコタイプDXの結果、再発スコアが高かったのですが、化学療法をしなくてはいけないでしょうか?

2020年10月25日   

7月、たまたま自分で触って腫瘍を見つけました。初めての乳がん、48歳、閉経前です。
部分切除の手術を受け、病理検査の結果は、【浸潤性、硬がん、腫瘍2cm(正確には、2cmとその近くにある1cm未満の計2つ)、リンパ節転移0/3、ER80%、PGR90%、HER2:2(FISH陰性)、Ki67:35%、核異形度グレード3、脈管侵襲:リンパ管陽性・血管陰性】でした。摘出した腫瘍の周辺にも小さな癌細胞が散在していることが分かり、断端陽性の可能性があったため追加切除の手術を受け、断端陰性を確保しました。術前の薬物療法はしていません。
この時点では、医師は、抗ホルモン剤への感受性が高いという見立てで、ホルモン療法(タモキシフェン、LH-RHアゴニスト)だけでいいという意見で、私もそれで良い(抗がん剤は効果が不確定すぎる)と考えていました。

ただ、病期グレード1ながらKi67値や異形度が高く、現状と予後に関してもう少し個別に把握したかったため、また、長期的な治療をダラけずに継続させる根拠、原点が欲しかったため、自分から希望してオンコタイプDX検査を受けました。結果は、【RS32、タモキシフェン単独の9年遠隔再発率は20%。化学療法の上乗せ効果は(控え目に言って)15%以上】でした。
この結果から、医師は、抗がん剤治療をした方がいいーとなりました。私もそうは思うのですが、短期的に仕事や生活のことを考えると(ただいまコロナ禍で失業状態)、抗がん剤治療は避けたい気持ちが強いです。

このような腫瘍の状態や検査結果で「抗がん剤治療はしない」という選択は、無謀でしょうか?。
心配し出したらキリがなく、現況のQOL維持を目的・恩恵とし、もし遠隔転移した場合、自分で選んだことだーと考える精神力を持ちたいとは考えています。オンコタイプDXの高リスクの場合の数値のCI(95%信頼区間)の広さも気になるところであり、また、ホルモン療法にLH-RHアゴニストを加えれば、少しリスク減になるはずーとも考えます。

他方で、明らかに恩恵があるのだとするならば、それは得ておくべき、今しかないーとも考えます。抗がん剤治療を受ける場合、医師は、TC療法だけ(ドセタキセル3週間x4回)でもいいーという意見でした。これは妥当なところでしょうか?。私が抗がん剤による不可逆性の副作用(後遺症、特に神経系ー頭脳・手先の器用さを損なうこと)を不安視していることから、また、そこまで重篤ではないという判断からか、医師は「FAC+T」や「AC+T」などのフルスペックではなく半分で、と考えているようです。腫瘍科はフルスペックでもいいレベルだと言っていたそうですが・・・。どうせやるのならばフルスペックで(恩恵も多い)なのか、やり過ぎは無用(害が上回る)なのか?。

担当いただいている医師とはよく話しており、一方的な感じではなく信頼はしていますが、微妙なところは患者が決めるしかないです。優柔不断なので、参考とする意見・情報がもう少し欲しいです。見解をお聞かせいただけますと助かります。

いただいた文面からは、「Ki67:35%、核異形度グレード3」というのがリスクを上げているようですね。悪性度、増殖スピードが高いという性格です。当科では、TC4コースが必要、となるケースですが、化学療法を避けたい場合は、オンコタイプDXに提出します。ですから、オンコタイプDXの再発スコアが低い場合のみ、化学療法をしない、という選択肢になっています。質問をいただいた方の場合も、そのつもりでオンコタイプDXを受けられたのでしょうけど気持ちが揺らいでおられますね。

主治医の先生と同様、TC4コースをお勧めいたします。それに対してどうされるかは、患者の判断になります。結果は、数年後に再発するかどうかしかわかりません。医者からは治療の強要はできませんが、化学療法は避けられないのではと考えますよ

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行