オンコタイプDX検査をした方が良いでしょうか?

2020年10月19日   

癌治療方針についてお聞き致します。
54歳女性です。術前の針生検では非浸潤癌でしたが、術後病理診断では浸潤癌もあり、ミックスされた状態でした。乳癌腫瘍径13mm、リンパ節転移無し、ステージ1、ホルモン受容体共に95%、Ki67  17、5%、組織グレード2、核グレード3 、HER2陰性です。主治医より、核グレード3なので、オンコタイプDX検査をする方が良いと言われております。私自身は、抗がん剤治療は望まないので保留にし、ホルモン剤(ノルバデックス)を服用しております。
このままホルモン剤だけで5年間治療していきたいのですが、オンコタイプDX検査をした方がよろしいでしょうか?積極的な化学療法は望んでいません。
よろしくお願い致します。

質問者様の場合、確かに核グレード3は化学療法をすべきかどうか悩ましいデータです。またKi67は17.5%で、10%以下(ルミナールAタイプと判定)でもなく、30%以上(ルミナールBタイプと判定)でもないので、ルミナールAかBか判定に迷うところです。これも化学療法をすべきかどうか悩ましいデータとなります。そのため、主治医の先生は化学療法が必要かどうかの判定のために、オンコタイプDXを勧められているのだと思います。ただ、オンコタイプDXの検査は、検査自体が自費で40-50万円と高額ですし、受けた結果も判断が難しいこともあります。

質問者様は、積極的な化学療法は望んでおられず、ホルモン剤だけで5年治療していきたいというご希望ですので、それをふまえてオンコタイプDXのメリット・デメリットを考えますと、

オンコタイプDXのメリットは、

・再発スコアが低ければ、ホルモン療法のみでよいだろうと考えられ、自信をもってホルモン療法のみで治療を行えます。

オンコタイプDXのデメリットは、

・コストが高いです。

・再発スコアが中間であれば、ホルモン療法に化学療法を追加するかどうかの判定が難しいです。

・再発スコアが高ければ、ホルモン療法に化学療法を追加した方が再発リスクを低減することができるとわかりますが、もともと化学療法は望んでおられないため、結果とご希望の間でまた悩みが生じてしまいます。(ただ、できるだけ再発を抑えたいということであれば、化学療法へのお気持ちが変わるきっかけになるかもしれません。)

オンコタイプDXをした方がいいかどうかは、患者さんそれぞれのご希望もあるので一概には答えられませんが、以上を参考にして、どうされるか考えてみてください。また、主治医の先生ともよく相談されてください。

JA尾道総合病院 乳腺外科

吉山 知幸