クリニックと手術病院で診断結果があまりにも異なり不安です
2020年9月7日 診断
自分で乳首の下にしこりを見つけてクリニックで検査を受けたとこ
乳がんという診断を受け、その根幹の診断に少し違いがあるとこれからの治療に際して不安になられるお気持ちはよくわかります。がんの個数が異なり、大きさも異なれば、病期がかわってきますので、治療法にも関わりますね。
それでは、なぜこのようなことが生じるのか?と、どうしたらよいかを考えていきましょう。
まず、診断をつけるクリニックのドクターと、治療をおこなう病院のドクターでは、診方(みかた)が少しだけ違うということです。診断は、病変の中でも最もがんの診断がつきそうな部分(特に浸潤がん成分で)をエコー検査でピックアップし針生検します。そこで、診断がつくと、治療をおこなう病院のドクターに紹介して自分の役割は終わります。治療に向けて次の検査(例えば、MRI検査や、CT検査、PET-CT検査)を治療法が決まるまでの間におこないます。手術をおこなう施設のドクターは、手術で取り残さないように、がんの範囲や個数をより詳しくみていきます。少し、慎重に範囲を設定します。MRI検査を行っている場合は、それも参考にして診断します。
長くなりましたのでまとめると、
・診断施設は、乳がん(特に浸潤がん)の診断をつけ、治療施設にまかせる。
・治療施設は、治療方針を決めるために、がんの範囲や病期、サブタイプなどを確認し、治療方針を決める。
以上のような役割があるので、治療施設で乳がんの範囲が広いと診断されたり、反対側にもみつかったりします。
決して診断施設のドクターが見落としているわけではないと思います。また、MRI検査を受けておられる場合は、MRI検査は精密なのですが、がんの周囲の良性部分(多くは高度の乳腺症)もがんとして描出されることがあります。エコー検査では、逆に少し範囲が小さめに描出される傾向があります。
次にどうしたら良いか?ですが、色々な検査を合わせて、治療施設のドクターが今までの経験やデータから判断されますので、それにお任せするのが良いと思います。前述したように、治療施設のドクターは、最も浸潤がんが出そうな部位を針生検していますので、一般的には再検する必要はないと思います。質問者の場合はHER2疑陽性?(HER2 2+でしょうか?)で、最終的に微妙であれば、もう少し組織量を多くとってくる方法で生検し直して判定することもありますが、稀なケースですので、主治医の先生の意見をよく聞いて相談し、納得してこれからの治療を受けてください。
文責:香川乳腺クリニック 香川直樹