乳がんに良いサプリメントは無いでしょうか?

2020年4月21日   

浸潤性乳がんで右乳房の温存手術をして7年半程経ちます。56歳です。2個ガンがありましたがステージ1でした。リンパに転移なしで放射線治療とホルモン療法(フェアストン)5年終わりました。乳がんとは関係ない所で体調管理のためのサプリメントの服用を考えています。鉄やビタミン、プロテイン飲料等です。以前主治医からはホルモンの関係でイソフラボンとプラセンタはダメと言われました。浸潤性ということもあり再発や転移の心配をしている中でやはりサプリメント服用はやめるべきなのでしょうか?先生の中には積極的にサプリメントを推奨して処方している先生がいるとも聞いてます。考え方の違いなのでしょうが。サプリメントを服用することによって再発や転移になにかしらの影響はありますか?現在4種類の薬を服用中です。(アムロジピン、クロピドグレル、バイアスピリン、タケキャブ)

サプリメント服用で、色々な効果を期待されるお気持ちはよくわかります。乳がん患者さんが、サプリメントの服用を考えられている理由は大きくわけて

  1. 乳がんの再発予防のため
  2. 体調管理のため
  3. 治療の副作用や後遺症対策のため

ですが、1については、VitA,C,B6,B12,D,E、などのビタミンやCa、鉄、カロテン類、イソフラボンなどのサプリメントが乳がんの発症を抑えるかという有効性が検討されましたが、効果はないと結論つけられており、サプリメントや健康食品で再発予防になりません。

今回のご質問は、2についてですが、まず鉄、Vit、プロテインで体調が整う場合もあると思いますが、過剰摂取は弊害が生じることがあります。また、ご相談者は、他疾患があり、降圧剤(血圧を下げる薬)や抗血小板剤(血液をサラサラにする薬)、胃薬を内服されていますので、これらの効果を妨げるサプリメントもあります。プロテインのサプリメントの中には、他の成分(例えばプラセンタとか)が含まれているものもありますので、注意が必要です。

「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」の一文をご紹介します。

健康食品はあくまでも食品であり、薬ではありません。サプリメントも食品に分類されます。いくら錠剤やカプセルの形をしていても、薬ではないのです。 ~ 中略 ~ 副作用についても十分に調べられていませんので、思いがけない健康被害が出る可能性もあります。

再発や転移に対して影響があるかどうかもわかっていません。

薬ではないと書いてあると、副作用がないと思われるかもしれませんが、今までの患者さんの中にも、サプリメントで間質性肺炎になったり、重篤な肝機能障害を生じたかたもおられます。

自己判断せずに、内服前にそれぞれの疾患の主治医の先生にご相談し、厳選して内服してください。

 

文責:香川乳腺クリニック 香川直樹