トリプルネガティブで術前抗がん剤なしという選択肢はあるのでしょうか?その場合、キイトルーダは使えないのでしょうか?

2023年11月14日   

52歳、閉経後、トリプルネガティブ9mm初発でみつかりました。現在BRCA検査結果待ち。温存手術予定です。
まずは手術で取り除き、手術の生検結果次第でその後の抗がん剤を決める。となっています。
トリプルネガティブでは、術前の抗がん剤が当たり前?と思っていたので、手術が先で(どの抗がん剤が効くのかわかりにくくなる)よいのでしょうか?
キイトルーダを使用してみたいのですが、術前に使用していないと、術後には使えない。との情報も聞いており不安です。
トリプルネガティブで先に手術を取り除かれた症例はあるのでしょうか?

少し前まで、術前化学療法も術後化学療法もどちらも治療成績は変わらないと考えられていました。しかし、HER2陽性乳がんでは、術前化学療法でpCRにならなかった場合にはカドサイラを投与すれば予後が改善することが明らかになりました。これは術前化学療法を行った方が、術後よりも予後が良いことを示しています。トリプルネガティブ乳がんも同様に、術前化学療法でキートルーダ併用にした方が、従来の化学療法よりもpCR率が向上しています。キートルーダは免疫チェックポイント阻害剤で、術前化学療法と併用でしか使えませんので(がんがあることで効果が増強すると考えられている)、術前化学療法を選択した方が予後が良いことを示しています。しかしながら、すべてのトリプルネガティブ乳がんに適応があるわけではありません。適応は以下の通りです

・T1c, N1-2、

・T2-4, N0-2、

質問者の内容からはT1N0と思われ、適応ではないと考えられます。では、術前化学療法でも術後化学療法でも一緒なのでしょうか?それはまた複雑です。なぜならもう一つ「CREATE X」という臨床試験があり、術前化学療法を行ってpCRにならなかった場合には、ゼローダを半年内服した方が予後が改善した、という結果もあるからです。最近は、response-guided therapyという考え(治療反応を見て治療薬を選択する)が重要となってきており、術前化学療法を行うメリットはまさにそこにあります。

しかし、主治医の先生はもしかしたら、先に手術をしてリンパ節転移がないことを確認したら3ヶ月の化学療法でも良いことを考えられたのかもしれません。治療が軽くなる可能性がありますからね

主治医の先生が治療法を決められたお考えは色々おありでしょうから、納得がいかなければ質問してスッキリしてから治療を始められた方が良いと考えます。

 

文責:島根大学医学部附属病院乳腺センター 角舎学行