ホルモン療法による対側予防の効果について知りたいです

2021年1月11日   

2年前、3mmのDCISが見つかり片側全摘しています。小さいので部分切除で良いと医師から言われましたが、再発の余計な心配を減らしたかったので自分の希望で全摘し、タモキシフェンも対側予防になると聞いて2年間飲んでいます。
ところが、最近になって「タモキシフェンを飲んでいると、対側に新規乳がんが出現した時、HER2陽性やトリプルネガティブが出てくる可能性が高い」という論文をネットで見つけてしまい、タモキシフェンを飲むことが適切なのか分からなくなりました。
対側の予防効果があるならばと、本来無治療でもよいところを頑張って飲んでいましたが、それによってホルモン陽性タイプ以外の一般的には予後のよくないタイプの乳がんが出てくる可能性が高まるのなら、やめた方がいいのかと迷っています。
私が見つけてしまった論文の内容は、一般的には認識されているものなのでしょうか?

 

 

ご質問有難うございます。質問者さんの場合、タモキシフェン内服により対側乳がんの発生が半減する効果が期待されます。一方で、患側乳房は切除されていること、生存については明らかな利点がないこと、副作用があることから、この場合はタモキシフェン内服を積極的にはお勧めしていません。タモキシフェンを継続するかは、ご本人の希望によるところになります。

ご質問にありました論文について調べましたが、日本および海外のガイドライン・教科書にそのような内容は掲載されていません。乳腺専門医には認知されていない内容です。タモキシフェンを内服するとホルモン受容体乳癌の発生が減るため、相対的にHER2陽性やトリプルネガティブ乳がんの割合が増える可能性はあるかと思います。タモキシフェン内服について負担に思われるのなら中止される選択は妥当と思います。よろしくご検討ください。

 

文責:呉医療センター乳腺外科 重松英朗