ホルモン陽性HER2陽性で手術を先行しました。術後の治療方針について教えてください

2021年10月28日  , 

術前組織HER2遺伝子(FISH)シグナル比1.7×増幅なし判定の浸潤性乳管癌(硬癌)グレード2で乳腺部分切除術後です。術後組織染色はHER2(3+)。主治医からは術後HER2陽性であるが術前FISHを採用し、放射線療法とホルモン療法(術前よりER陽性)とご提案いただきました。術後HER2陽性は化学療法と覚悟していましたので色々な意味で困惑しています。FISHについて(結果解釈信頼性等)お教えください。

免疫染色でHER2陽性であれば一般的には「陽性」と判断すると思います。そうでないと患者さんに不利益になる可能性があるからです。

HER2陽性の治療についてのガイドラインの記載は以下の通りです。

「HER2陽性乳癌の標準的な術後化学療法にペルツズマブを併用することで予後が改善されるかを検証した試験はAPHINITY試験が唯一報告されている。本試験は、術前化学療法を受けていないHER2陽性早期乳癌症例を対象としたランダム化二重盲検第Ⅲ相試験である(N=4804)。術後化学療法として、アンスラサイクリン系薬剤の後にタキサン系薬剤とトラスツズマブの併用、またはTCH(ドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ)を行う群(標準治療群)と、標準治療群にさらにペルツズマブを合計1年間併用する群(ペルツズマブ群)にランダム化割り付けを行っている。主要評価項目はIDFS(Invasive disease-free survival; 浸潤癌の無病生存期間)で、OS, 安全性, QOLなどを副次評価項目としている。観察期間の中央値45.4ヶ月において、IDFSはHR 0.81 (95%CI, 0.66-1.00, p=0.0453)とペルツズマブ群で有意に改善された。尚、3年IDFS率はペルツズマブ併用群で94.1%, 標準治療群で93.2% であった。術後療法の評価をする上で、IDFSのHR 0.801は臨床的に意義深いと考えるが、3年IDFS率の改善の絶対値は大きくないことには留意が必要である。現時点において追跡期間の中央値は45.4カ月であり、ホルモン受容体陽性やリンパ節転移陰性群では、予後改善効果は充分とは言えない。」

以上から、標準的な治療は化学療法+トラスツズマブ+ペルツズマブとなります。ただ、ホルモン受容体陽性やリンパ節転移陰性群ではトラスツズマブのみでも効果は同等ということなので、ペルツズマブを省略しても良いかと思います。化学療法を省略しても良いわけではないと考えます。しかし、腫瘍径が5ミリよりも小さい場合などは治療を縮小する可能性はあります。詳細はわかりませんのでそこのところは、主治医としっかり相談してください

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行