閉経前ホルモン療法の際のリュープリンの必要性について

2020年5月26日   

はじめまして。2020年3月に浸潤がん8mm、非浸潤がん広がり6.5㎝で温存手術を受けました。リンパ転移なしステージ1、グレード1,ki67 9.2%、断端陽性で現在放射線治療25回+ブースト5回の途中段階です。ホルモン受容体で90%90%でした。放射線治療終了後ホルモン治療に入る予定ですが、主治医からはタモキシフェンとリュープリンと言われています。教えていただきたいのですが、
①まだ毎月定期的に生理はありますが53才です。タモキシフェンもリュープリンも副作用が不安なのですが、53才でも閉経前であればリュープリンも併用したほうが再発や転移を防ぐ効果は高いでしょうか?
②断端陽性が気になりながらも放射線で制御できると言われ再手術はしませんでした。局所再発は多くは2〜3年以内の場合が多いですか?ゆっくりタイプのがんであれば10年以上経ってからの局所再発もあるのでしょうか?

どうぞよろしくお願いいたします。

①リュープリンの併用についてですが、

閉経前の方の乳癌術後のホルモン療法について検討したSOFT/TEXT試験の結果、特に再発リスクの高い方(腋窩リンパ節転移があり化学療法を必要とするような場合など)や若年層にはリュープリンなどのLH-RHアゴニストを併用する意義は高いとされております。ご質問者の年齢、浸潤癌の大きさが8ミリ 腋窩リンパ節転移なし StageⅠ 核グレード1 ホルモン強陽性 Ki67 9.2%という診断でしたら、リュープリンなどのLH-RHアゴニストは積極的に使用する必要はないと考えます。ただ脈管侵襲の有無はいかがでしょうか。担当医の先生が必要とお考えの理由が必ずあると思いますので投与前にもう一度、担当医と御相談なさってはいかがでしょうか。

②局所再発について

手術をした側の乳房やその周囲の皮膚やリンパ節への転移を局所再発といいます。温存手術後の局所再発は約10%未満とされており切除断端陽性は局所再発のリスク因子とされております。局所再発は術後数年以内が多いですが、当院でも局所再発の方の約3.7%が20年以降での再発でございますので10年以上たっても局所再発はございますので治療が終了しても定期的な検診は必要と考えます。

 

呉医療センター 乳腺外科 板垣友子