乳がん術後の抗がん剤の選択について教えてください

2020年11月25日   

46歳女性です。 先月右乳房の全摘手術を受けました。
そしてその病理結果は以下の通りでした。

浸潤性乳管癌 ステージIIA 浸潤癌の大きさ 25×25×20ミリ  リンパ節転移なし  ER +(高度)  PgR +(中等度)  HER2 1+  核グレード3、組織グレード3
波及度 f、 Ly0、V0  K i67 75%

「浸潤癌は乳管内進展は見られません。
組織学的には充実性胞巣、小胞巣を形成して増生する浸潤性乳管癌です。」

この結果を受けて、主治医より、今後TC4クールと、その後ホルモン治療と言われています。一方、自宅に帰ってからいろいろ調べると、EC+パクリタキセルのように、アンスラサイクリン系+タキサン系の治療がよくなされているように思います。 私はグレードが3でKiも75%です。

TCだけで不十分ということはありませんか?先生がもし私の主治医でしたら、どのような治療を提案されますか?もう抗がん剤が来週に迫っています。
もしやはり、アンスラサイクリンの抗がん剤もやりたいとなった場合、TCのあとに追加は可能なのでしょうか?その場合、効果は弱くなったりしませんか?
どうぞよろしくお願い致します。

ご記載の状況の乳がんに対する術後化学療法として、TC療法は標準的治療の1つであり、不十分ということはありません。アントラサイクリン+タキサンの方が、再発予防効果は高いと言われていますが、リンパ節転移がない方では、その差はないか、あってもわずかです。

「たとえ1%の確率でも、再発リスクを減らすためにできることはすべて行いたい」というお気持ちがあるのでしたら、両者を受けることも選択肢になります。

TC療法は、基本的にはアントラサイクリンを行わないときの治療法ですので、どの治療法を受けるのかは、あらかじめ主治医とよく相談しておくことをおすすめします。納得した上で治療を受けられることを、お祈りしています。

 

文責:広島大学病院乳腺外科 笹田伸介