乳房全摘術後の病理検査で断端陽性でしたが、追加手術はできないのでしょうか?

2020年9月28日   

皮膚温存乳腺乳頭全摘術+自家組織再建術をうけました
9センチの非浸潤癌の中に3カ所浸潤癌がありました。
乳腺は全摘出したのですが、断端陽性でした。
ER+  PR+ HER2-
脈管浸潤+ リンパ管浸潤+

追加切除は不可能と言われ、タモキシフェン内服継続+放射線治療をすすめられました。

断端陽性にもいろいろ種類があります。まず、浸潤がんの断端が陽性なのか?非浸潤がんの断端陽性なのか?ということ。もう一つは、水平断端が陽性なのか、垂直断端が陽性なのか?ということです。

浸潤がんの部分が断端陽性であれば追加切除の必要があります。しかし、非浸潤がんの部分、つまり乳管内病変のみが断端陽性であれば追加切除する先生もおられるでしょうし、放射線治療で済ませる先生もおられると思います。

水平断端とは切除した外側との断端のことで、垂直断端は腫瘍と皮膚との間です。水平断端であれば該当するあたりの組織を追加切除すれば良いのかもしれませんが、垂直断端であれば皮膚になりますから皮膚の追加切除になります。これは再建をすでにしておられるので整容性が保たれなくなり現実的ではありませんし、どこが陽性であったかわからないと思います。

質問者の方がどのような断端陽性であったかわかりませんが、全摘+再建をした後では、追加切除は不確実であると言えます。非浸潤がんの断端陽性に対しては放射線治療というのが妥当であるかと考えます。浸潤がんの断端陽性であれば、もう少し詳しく主治医と相談された方が良いかと思います。

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行