乳房再建術後の生活にはどのような制限がありますか?

2020年10月14日   

両側多発の早期乳がんで近々全摘+再建術を受けます。自分でいろいろ調べていると、リンパを切除すると予防接種や虫刺されや傷にも注意する必要がある。また術法によるとMRIが受けられなくなる可能性がある。等、手術によるリスクもあることがわかりました。脳動脈瘤があるため、定期的に脳ドックを受けています。主治医の先生にも相談させていただくつもりですが、全摘+再建後、生活上どんな制限が出てきますか?お金もかかるので仕事(販売業)も続けたいです。

手術をひかえ、術後の状態について、色々と不安になられると思います。少しでも不安が取り払えるように、質問にお答えします。

  • まずは、リンパ節の切除についてです。以前は、乳がんの手術は、腋窩(わきの下)リンパ節をごっそり取り除いていました。しかし、この手術法だと術後の後遺症、特にリンパ浮腫(腕が腫れる)や上肢の挙上困難(または肩関節の可動域低下)などを生じやすい一方で、リンパ節に転移がない患者さんは7割程度おられ、この手術法が全員には必要でないことがわかりました。現在では、リンパ節をごっそり取り除くことを省略する方法(センチネルリンパ節生検)が行われています。特に、質問者は0期と1期なので、センチネルリンパ節生検をおこなう予定だと思います。

センチネルリンパ節生検だと、術後の後遺症はかなり減ってきます。しかし、やはり気をつけておくことはありますので、質問者が書いておられる、予防接種(両側手術ですので、腕は避け、たとえば臀部に予防接種する)や虫刺され、傷には気をつけておいたほうが無難です。最近では、血圧測定・採血などは手術したほうの腕で行って良いとするデータがでてきています。リンパ浮腫発症リスクが高いかた(例えば、リンパ節をごっそり取り除いたかたやリンパ節に放射線照射したかた、ドセタキセルという抗がん剤投与をうけたかた)は、以前と同様に注意は必要です。

  • 次に再建方法が、インプラント再建の場合は、まず最初の手術の際に、一時的にティッシュエクスパンダーを挿入し、徐々に生理食塩水を注入していき、皮膚を伸ばしたあと、6ヶ月以上してインプラントに入れ替えます。実は一時的に入れるティッシュエクスパンダーには、磁石が入っており、そのためMRI検査が受けられません。インプラントに入れ替えたあとは、MRI検査可能です。脳動脈瘤のフォローアップは、1年に一度程度だと思いますので、術後MRI検査が受けられるようになるまで、そんなに、脳の検査が遅れることはないと思いますよ。自家組織による再建なら、MRI検査は可能です。
  • 生活上の制限ですが、術後早期は、バストバンドが必要だったり、運動制限があったりしますが、日常生活で困るようなことはあまりありません。適正な下着を選んだり、インプラントの感染兆候に注意したり、スキンケア、定期的な受診(形成外科医によるフォローアップ)などが、必要な程度です。

時期により、細かな注意点はありますので、手術を受けられる主治医の先生や形成外科の先生に伺ってください(術前か術後に指示があります)。

 

文責:香川乳腺クリニック 香川直樹