乳房部分切除後に局所再発しました。すでに乳房に術後放射線照射をしていますので再建するかどうか悩んでいます。
2021年1月4日 乳房再建
7年前に部分切除手術をしましたが、先日の検診にて左胸局所再発が確認されました。全摘手術のみ或いは同時に再建手術(広背筋皮弁)するかしないかでとても悩んでいます。見た目より命や身体のことを優先して考えたいので再建は考えていなかったのですが、病院から選択肢の一提案として耳にしたので念の為検討してみることにしました。
*形成医師→放射線治療経験者は、皮膚が弱っているため 全摘したままだと 皮膚炎になりやすいことがあるが 再建することによって緩和される背中の血管を繋げるため 胸元に血管が通ることになる
*乳腺外科医
放射線治療の経験有り無し➕全摘したままの場合(再建なし)その
皮膚炎他、不具合の有り無し等 先生方が 診てこられた経験含め 明確なものはなくともわかる範囲で メリットデメリットを教えていただきたい
手術の選択する上で 参考にしたいので 宜しくお願いします
放射線治療による皮膚障害には照射後早期の急性障害と照射後数か 月~10数年で起こる晩期障害があります。
急性障害は放射線皮膚炎の状態で、晩期障害になると皮膚・ 皮下組織の萎縮や繊維化が起こり進行性、非可逆性となります。
したがって放射線照射後であれば創治癒遅延、 感染など再建術による様々な有害事象の発生率は未照射例と比較し 高くなります。
だからといって再建ができないわけではなく、 また照射後の再建術全てでトラブルが起きるわけでもありません。
できるだけそのリスクを最小限に抑えるよう形成外科医として御提 案させて頂き、最善を尽くします。
照射後であればインプラントを用いた乳房再建はお勧めできません 。自家組織による再建をおすすめします。
照射により皮膚の再生障害・微小血管の障害が起きているため、 少しでも血流の良い組織を充填した方が照射後皮膚のためにも再建 術による有害事象を最小限にするためにも良いからです。
また照射後皮膚の状態が良くない場合は、 その皮膚は切除してしまい組織を採取してくるところ( 背中やお腹)の皮膚に置き換えることも可能です。
再建の時期に関しては、一次再建(同時) だけではなく二次再建もありますので、 まだ再建を迷われるようでしたらまずは乳腺外科に治療に専念され て後々自家組織再建をすることも可能です。
どんな手術にもメリットとデメリットがあり、 放射線照射後は特有のリスクも伴うため御不安に思われるかもしれ ませんが、
対処法は色々とありますので、 まずは御自身にとって再建は必要か、 再建したいかどうかをよく考えて頂き、
主治医とよく相談して頂ければと思います。
文責:広島大学病院形成外科 佐々木彩乃