再建術後10年経ちますが、鈍痛は癒着でしょうか?

2021年5月17日   

10年前にHER2陽性でリンパ節転移なしの乳がんステージIIで全摘し、インプラントで再建しました。
腕や体を動かす度に、胸の周囲が痛み、その痛みが年々増してきています。
また、普通にしていても、見た目が波打ったようになっていて、温泉に行くのもためらいます。見た目はいいとしても、この痛みは、再手術などした方がいいのでしょうか。また、癒着による痛みだった場合、再手術してもまた同じことになるのでしょうか。
お忙しいこととは存じますが、お手すきの際お返事頂ければと思います。よろしくお願い致します。

インプラントは体にとっては異物であるため、正常な生体反応として、インプラント周囲に被膜が形成されます。
その被膜が徐々に厚く硬くなり締ってくることを被膜拘縮といい、見た目がゆがんだり、波打っているように見えたり、痛みを生じる場合があります。
現在の症状はこの被膜拘縮によるものと考えます。
被膜拘縮の痛みは、手術で被膜を切除することにより改善します。
しかしながら、インプラントを入れ続ける限りはまた新たな被膜が形成されますので、長い目で見ると同じような経過を辿る可能性はあります。
被膜切除+インプラント入れ替えまたは自家組織再建を検討頂く時期と思われますので、形成外科主治医に御相談下さい。
文責:広島大学病院形成外科 佐々木彩乃