抗がん剤治療中ですが、インフルエンザ予防接種をしても問題ないでしょうか?

2020年11月11日  , 

トリプルネガティブ・ステージⅡbで、8月中旬から術前化学療法中(ドーズデンスEC4クール終了しドセタキセル4クール中2クール終了)です。ドセタキセルを初めてから副作用含め体調が思わしくなく、10月7日の初回投与後は1週間後の10月14日、2週間後の10月21日と続けて採血を行い、骨髄抑制がどれくらい出ているか確認しました。
※10/14 白血球数0.8 10^3/μL ・ Segment, Neutro 19.2%のため、ノイトロジン100μg注射
10/21 白血球数5.2 10^3/μL ・ Segment, Neutro 62.0%
10/28(ドセタキセル 2回目当日) 白血球数4.5 10^3/μL ・ Segment, Neutro 72.2%

10月28日に2回目投与後、翌日にノイトロジン100μg注射し、1週間後の11月4日に採血したところ、白血球数0.8 10^3/μL ・ Segment, Neutro 22.9%と値が低かったため、再びノイトロジン100μg注射をしました。
次回採血は3回目ドセタキセル投与の11月18日になります。

治療中の医院とは別のところでインフルエンザ予防接種の予約を11月16日に取っています。つまり、11月18日の採血で骨髄抑制の戻りを確認する前に…ということになります。
担当の腫瘍内科の先生に聞くと、骨髄抑制の戻りが悪いとインフルエンザ予防接種の効果が期待できないこともあるとのことでした。
1回目の白血球数、好中球数の戻り具合からすると、2回目から3週間後目前の11月16日は大丈夫ではないかと思っていますが、戻りが悪いことにより、効果云々以前にリスクがあるということはないかと気になります。
あまり気にする必要がなければ、ワクチンが少なく予約が取りにくい現状では、このまま予防接種を受けようと思います。
長々とすみませんが、ご回答をよろしくお願いいたします。

ご質問ありがとうございます。

インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、血液中にできた抗体により、肺炎や脳症などの重症化を予防することです。インフルエンザワクチンの予防接種については、乳癌診療ガイドラインによると、化学療法開始前(少なくとも2週間前)の実施が望ましいとされています。それは、抗体産生にインフルエンザワクチン接種から2週間かかることと、化学療法中は、健康人と比べて抗体産生能が劣る可能性があるからです。

では、質問者様のように化学療法中の方は、接種時期はいつがよいかというと、乳癌診療ガイドラインには、骨髄機能の最下点(nadir ナディア)の時期を避けて接種することが望ましいと記載されています。ドセタキセルの場合、nadirは10-14日目くらいですので、ワクチン投与予定日の11月16日はnadirから回復している時期です。質問者様のお考えのように、1回目投与の結果からも、11月16日は骨髄機能は回復している可能性が高いと思います。この時期の接種であれば、効果は十分にあると思います。

また、安全性については、化学療法中のインフルエンザワクチン投与により、特に重篤な副反応が増加するという報告はありません。接種部位の疼痛、頭痛、鼻汁、疲労感、微熱といった軽度の副反応を10%程度認めるのみです。安心して接種していただければと思います。

文責:尾道総合病院乳腺外科 吉山知幸