放射性肺臓炎について

2023年8月28日   

1年前に乳がんステージ1.ルミナールA、部分切除して放射線治療後、今はアリミデッスクを飲んでいます。先日庭の手入れをして背中を痛め大きく息をすると痛かったので病院にかかりました。念のため肺のCTを撮ってみましょうということで撮ったら、肺臓炎かもということで紹介状をもらい手術をした病院の呼吸器内科にかかりました。やはり肺臓炎ですと言われたのですが特に大きな自覚症状が無かったので違う事で診て偶然わかったという感覚です。1週間様子を見てもう一度受診予定です。そこで質問なんですが、以前放射線の先生から肺臓炎になるのは100人に1人くらいですと説明がありました。その1人というのは実際治療に繋がった人のことを言うのでしょうか?稀と聞いていたので診断をもらったことに驚いています。同じ放射線治療をした人の中にはで知らずに肺臓炎になり、知らずに治ったと言う人もたくさんいるのでしょうか?放射線治療後9ヶ月です。こんな遅くに出ることもありますか?肺臓炎はぶり返すのでしょうか?たくさん質問してすみません。最後にもう一つ、最近動悸のようなものがあります。右胸ですが心臓に当たっていたのかと心配しています。先生のアドバイスお聞かせください。よろしくお願いします。

ご質問ありがとうございます。ご質問にある通り、通常、症状がない場合には検査を行いませんので、放射線治療医の言われた100人に1人というのは症状を呈する放射線肺炎の頻度となります(約1~2%)。放射線肺炎は、放射線治療中や放射線治療終了直後に生じるのではなく、放射線治療後数か月~1年以内に生じることが多いです。放射線肺炎の治療については、無症状の場合には治療は不要です。症状が強い場合にはステロイドの内服を行いますが、ステロイドの減量により一旦軽快した症状が再度増悪することがあります。そのため、症状が軽い場合にはステロイドを投与せずに無治療または対症療法で経過を見ることが多いです。

心臓への影響については、左乳房の場合に生じることがありますが、放射線により心臓へ影響が出るのは照射後数年以降となります。また、最近では照射技術の進歩により、左乳房でも心臓へ照射される線量を低減することが可能となりました。したがって、そのリスクは昔と比べるとかなり減っており、照射をした場合でも心臓死は増えないという報告もあります。なお、今回は右乳房への照射であり、動悸と放射線治療は関係がないものと思われます。

文責:広島大学附属病院放射線治療科 西淵いくの