放射線治療中の肌ケアはどうしたら良いのでしょうか?
2020年11月26日 放射線治療
5月末に左乳房全摘(トリネガ)、術前の抗がん剤があ
ちなみに、バイオイルというのが治療後のケアに効果があるとネッ
ご質問ありがとうございます。
乳房全摘術後の放射線治療の場合、胸壁に照射を行うため温存術後よりも放射線皮膚炎が強くなることが多いです。そのため、担当の先生が言われるように、放射線療法中は保湿が重要になります。また、皮膚炎が強くなってきた場合にはステロイドの外用剤も使用します。今回、ヒルドイドがすでに処方されているため、ヒルドイドをきちんと塗るようにしてもらえば良いと思います。ヒルドイドにも油分が多く含まれるものから、水分が多く含まれるものまでいくつか種類がありますので、肌の状態にあわせて担当の先生と相談して選択していただくのがよいと思います。また、放射線療法中は皮膚が刺激に弱い状態になっているため、医師に処方された外用剤のみを使用し、市販の塗り薬や化粧品(制汗ス
プレーを含む)は使わないようにしてください。放射線治療中および治療後のスキンケアで大切なことは、① 清潔を保つこと、② 刺激を避けること、③ 保湿をすることの3つが挙げられます。保湿については担当の先生よりお話を聞かれているようですので、その他の注意事項について少し補足します。
・入浴時には石けんをよく泡立てて、なるべく手を使用してやさしく丁寧に洗ってください。すすぐ際には、ぬるめのお湯を使用して石けんをよく洗い流してください。スポンジなどで強くこすると皮膚を傷つけてしまうため控えましょう。石けんは肌への刺激が少ない弱酸性のものを使用するのがお勧めです。また、体を拭く際も柔らかめのタオルを使用し、ポンポンと抑えながら水分を取るようにし、ゴシゴシこすらないようにしてください。
・放射線皮膚炎がでている期間は、短時間で多量の汗をかくようなサウナや岩盤浴はできるだけ避けてください。また、天然温泉も成分が強く刺激になることがありますので控えてもらう方がよいと思います。
・わきの脱毛やカミソリなどでの除毛も刺激になりますので、終了後1ヵ月程度(皮膚の炎症がおさまるまで)は控えてもらう方がよいです。最初にも書いたように、乳房全摘術後の場合には放射線皮膚炎が強くなることも多く、また、個人差も大きいため、皮膚炎を予防することは難しい部分もありますが、適切な治療
やスキンケアを行うことで症状の悪化を抑えたり、回復を早めたりすることはできます。そのため、今回、記載したようなケアをきちんと行っていただくことが大切です。心配な点については、その都度、主治医または放射線治療担当医に聞いていただき、適切な対応をとっていただければと思います。
文責:広島大学病院放射線治療科 西淵いくの