温存手術後の腕と脇腹、肋骨の痛みがあります

2022年6月1日   

今年の1月下旬に左乳がん(ステージ1、ルミナルA)のため温存手術をしました。2月上旬よりホルモン治療(アナストロゾール服用中)、3月中旬より25回の放射線治療をしました。
今回の質問ですが、腕を上に挙げると手術側の腕と脇腹、肋骨がつれるような痛さがあります。(毎回ではありません)
つれるような痛みなので、我慢できないほどの痛みではないですが、手術後はしかたのないことなのでしょうか?

術後に痛みがあると、「動かしすぎかしら?」とか「異常?」など、気になりますよね。

手術後の痛みは、数ヶ月はみられます。その後徐々に少なくなり、程度も軽くなります。手術の創部だけではなく、腕~腋窩~脇腹にもみられます。多くは、手術で摘出したあとの傷が治るときの反応(癒着)や放射線の影響だったりします。痛いからと、動かさなかったりすると、筋肉が硬くなり、腕が上がらなくなったり後ろにまわらなくなりますので、しっかりとリハビリをするために動かしましょう。また、放射線治療が終わって皮膚の状態が落ち着いたら、摘出部付近を含めてマッサージをすることで、癒着が軽快し、痛みが軽快することもあります。

 ただし、神経痛のようにキリキリとした感覚の痛みが頻回に続く場合は、「乳房切除後疼痛症候群」という、慢性的に長く続く痛みのことがあります。この場合は、早めに鎮痛薬などを使用した方が良いこともありますので、担当医にご相談ください。

術後疼痛は、5年で6割の患者さんが感じておられ、その後徐々に少なくなりますが、10年でも2割程度の患者さんが感じている、決して稀ではない症状です。ほとんどは再発とは関係がありませんし、異常でもありませんが、改善方法があることもありますので、担当医に遠慮せずにご相談ください。

 

文責:香川乳腺クリニック 香川直樹