副作用対策に漢方薬を内服したいのですか、どうしたらいいのでしょうか?

2020年3月23日   

はじめて投稿させていただきます。
勇気づけられるブログ記事も読ませていただいてます。
術前化学治療→乳房全摘手術+リンパ節郭清→放射線→術後化学治療(HER2)→タモフェキシン服用中です。癌治療の漢方薬の役割は補剤として上手く服用し、生活の質を落とさないようにする(副作用軽減など)、マクロファジーとかNK細胞だとかを活性化、予防的なことみたいな記事を読みました。今のところ、体力低下食欲不振等の症状はないものの、白血球好中球赤血球の数値が低くなかなか上がりません。(数年前から貧血気味、2月くらいまで白血球を上げる薬を処方されてましたが基準値以下)服用したいと思っていますが、どの漢方薬が良いのか分かりません
ホルモン療法もしているので、更年期症状の漢方は避けるべきなのかとか…とか。漢方薬専門の先生に聞けば良いのでしょうが…。
今の治療に差し支えなければ、服用しても良いのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。

我々医師は、効果のある成分、蛋白、酵素などを抽出、精製したものを薬剤として使用する「西洋医学」を主に勉強して来ています。西洋医学の薬剤は、すべて薬理作用、メカニズムがはっきりしており、細胞実験、マウス、人による実験、臨床試験をパスして保険承認されます。なので、内服して体のとこで吸収されて分解され、排泄されるということまで明らかになっています。

一方、漢方は長い間の人類の経験則によって「この草を食べると腹痛が治った」、「痛みが治まった」という薬草を集めて出来ています。ですから、どの成分が効果があるということよりも、薬草全体で治療するというイメージです。薬草の中の何が効果があるという科学的な分析はあまりされていない(個人的な印象ですが)と思います。

乳がん治療の大事な部分を漢方に任せるということは勧められませんし、ましては漢方薬専門の先生?に乳がん治療をお願いすると言うことは勧めません。どうしてもということであれば、乳がん専門医にお聞きして、保険適応のあるツムラなどの漢方薬を使用するに留めて下さい。保険承認されていないものは、副作用が起こっても補償されませんので。

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行