遺伝子検査を受けBPCA1という遺伝子に異常があると説明を受けました。娘にはいつ説明したら良いでしょうか?

2019年12月29日   

30代なのと、姉が乳がんで死亡していることもあり、遺伝子検査を受け、BPCA1という遺伝子に異常があると説明を受けました。
Q1.娘の遺伝子検査はいつ頃、受けるべきですか?大学1年生と、中学3年生の娘がいます。娘たちの遺伝子検査は、いつ、どのようなタイミングで受けるべきでしょうか?受ける場合、どのような流れになりますか?未成年なのでまだ早い、と思われるのは承知していますが、私の乳がんがすでにStageIVで、脳や肺、骨、肝臓に転移しているため、あまり時間がありません。残される娘や夫のために今後の方針を決めておきたいです。(通院中の病院は遺伝性乳がんの指定施設?ではないとのことであまり詳しいことはわからない、といわれました。)
Q2.乳がんは未成年でもなりますか?大学1年生(19歳)の娘が、最近、乳首から臭いのする液体が出る、と言います。色はオレンジ色で鼻をつくような生臭い感じです。まさか?と思うのですが、まだ若いし、、、と思っています。幼児期に骨髄異形成症候群になり、いまも小児科に通院中なので小児科で聞いても良いでしょうか?乳腺外科に行くのは親子共々、非常に抵抗があり迷っています。触った限りではしこりはわかりません。

本来は遺伝カウンセリングで全てのご質問にお答えできるはずなのですが、今回はこのような場でご質問いただけて幸いです。遺伝性乳がん卵巣がん症候群に関しては基本は20才以上の成人した方に対して遺伝子検査が行われます。Q2にも関連しますが、10代の方で乳がんになられる方は日本ではまずいらっしゃらないからです。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の方では、以下のような検診や予防切除が勧められます。
・18 歳から、乳房の自己検診を行う
・25 歳から、医療機関で半年~1 年に 1 回の頻度で視触診を受ける
・25~29 歳あるいは家族が乳がんを発症した最も早い年齢から、1 年に 1 回 の頻度で MRI 検査(MRI 検査ができなければマンモグラフィ検査)を行う ・30 歳~75 歳では、1 年に 1 回の MRI 検査とマンモグラフィ検査を行う ・75 歳以上では、個別対応
・乳がん治療後は、残っている乳房組織に対して 1 年に 1 回のマンモグラフィ と MRI 検査を継続する ・「リスク低減手術」(乳がんのリスクを下げるために、がんを発症する前に乳 房を切除する手術)について検討し、医療者と話し合う
遺伝性を調べることでリスクに対応できるというメリットと、リスクを知ることによるデメリットも考えられますので、「遺伝カウンセリング」を受けられる専門の医療機関でご相談いただくことをお勧めいたします。

文責:広島大学病院乳腺外科 恵美純子