腋窩リンパ節郭清をしましたが取れないリンパ節がありました。術後の放射線はどのようにしたらいいのでしょうか?

2020年9月17日   

両側浸潤性小葉癌と昨年末診断されました。それぞれ1㎝〜1.5㎝の腫瘍とのことで、部分切除術を受けました。術後、右乳癌は腋窩リンパ節にも多数転移しており、一部は血管に癒着しており取りきれなかったと説明されました。
癌のタイプ「ER7/8  PgR8/8  Her2(−) Ki67 15%」から抗癌剤が効きにくいがリンパ節転移4個以上のためddAc4回 ドセタキセル4回施行しました。
今年の7月全摘術しましたが腋窩リンパ節転移の癒着が取れなかったと聞きました。現在は右胸壁と鎖骨上に25回放射線療法とホルモン療法(タモキシフェン)中です。リンパ郭清した腋窩には放射線照射はしないと診療ガイドラインにありました。放射線 手術も無理だということはこのままホルモン療法で様子をみることしかできませんか?
またホルモン療法で進行した癌が消滅することはありますか?

ご質問ありがとうございます。

腋窩郭清にてリンパ節が完全に切除されている場合には同部位には放射線治療を行う必要はなく、郭清していない腋窩リンパ節領域(腋窩リンパ節にも領域があります)や鎖骨上リンパ節に照射を行います。一方で、手術や病理の結果から完全に切除できていないと考えられる場合には、その部位も照射範囲に含めることが一般的と考えます。

放射線治療の技術的には郭清した腋窩リンパ節領域にも照射を行うことは可能です。したがって、今回の場合も乳腺外科医と放射線治療医が相談し、切除できなかった腋窩リンパ節も含めて照射されているのではないかと思います。照射範囲について、放射線治療医に最後ご確認していただくのが良いのではないかと考えます。

文責:広島大学放射線治療科 西淵いくの

 

追加回答です

ホルモン療法で進行した癌が消滅することはありますか?というご質問ですが、例えばリンパ節転移が10個以上ある場合には、腋窩リンパ節郭清をしても当然、小さな転移リンパ節やリンパ管の中にがん細胞が残っていると思われます。そのため、化学療法やホルモン療法を行いますが、その後再発してこないことはよくあります。ですから、少し残っている場合も再発として出てこない可能性はありますので、主治医の先生が言われるように周術期の治療をしっかりすることです。ddAc4回 ドセタキセル4回されておられますので、主治医の先生はかなり頑張って治療をしておられます

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行