腫瘍マーカーが急激に上昇していました。腫瘍マーカーの上昇は遠隔転移を予測する上で信頼度は高いのでしょうか?

2020年7月22日   

初めて質問させて頂きます。2年前の7月、右乳房乳癌(硬癌)発症、
腫瘍径1.0、リンパ転移なし、脈管侵襲なし、リンパ関係侵襲不明、
ER陽性90%、P G R陽性50%
H E R2 2+, FISH陰性
グレード2、ki6750%
ルミナルAと診断されました。
術後、放射線治療の後、現在ホルモン療法(ノルバデックス)にて治療中です。今月の血液検査の結果、腫瘍マーカーが急激に上昇していました。
CA15-3  11.6  11.6 14.7 35.6
CEA        0.7 1.7 1.7 4.1
NCC ST439  1.8 1.7 1.5 〈=1.0
主治医は半年ごとに血液検査、CT、1年ごとに骨シンチを行います。同日行ったCT、骨シンチでは両方とも異常が見当たりませんでした。主治医は2ヶ月後に血液の再検査を行う事としました。

質問ですが腫瘍マーカーの上昇は遠隔転移を予測する上で信頼度は高いのでしょうか?短期間で2倍以上の上昇はありえるのでしょうか?
主治医は脂肪肝の影響かも?と言われたのですが可能性はありますか?ルミナルAでの短期間での遠隔転移はあるのでしょうか?ルミナルBの可能性はなかったのでしょうか?沢山の質問で申し訳ありませんが可能な限りで宜しくお願い致します。

乳がんの術後において、腫瘍マーカーの信頼度は過信は禁物ですが比較的良好です。乳がんが再発をする場合、症状が出現するもしくは検査で発見される平均5~6か月前にCA15-3が上昇し、再発を予測することができるとされています。腫瘍マーカー測定をすることで乳がんの生存率やQOLの改善を示す結果はまだ得られていませんが、限局した乳がん再発であれば早期治療で治る可能性もあると考えられるため、実際の診療では腫瘍マーカーは広く使われています。

そして、腫瘍マーカーはがん以外でも上昇することがよく知られています。CEAは喫煙・加齢・肺炎・気管支炎・結核・潰瘍性大腸炎・慢性肝炎・慢性膵炎・糖尿病・腎不全・胃潰瘍・甲状腺機能低下症で、CA15-3は乳腺炎・妊娠後期・肝機能障害・肝硬変・肝炎・自己免疫疾患・卵巣嚢腫・子宮筋腫・子宮内膜症で、上昇することがあります。

ホルモン陽性でルミナルAと呼ばれるタイプの乳がんは、一般的にノルバデックスが効果的で比較的予後良好です。しかし、ノルバデックスの治療効果が低くて術後に再発する患者さんが約2割おられ、その中には術後1~2年といった短期間で再発が見つかる方もおられます。つまり、結論としてルミナルA乳がんの方で、ノルバデックスを内服していても再発する方が少数派ですがいらっしゃいます。

ホルモン療法開始後の数か月で腫瘍マーカーが一時的に上昇してその後低下することがある事も知られていますが、開始して約2年経過されておりそれも考えにくいです。また、半年で2倍以上の上昇をきたすことも可能性としてはありうると思います。再発の可能性も再発以外のことが原因の可能性も共に考えられますので、慎重に経過をみていかれることをお勧めいたします。

 

文責:はつかいち乳腺クリニック 川渕義治