術前AC療法「2週間毎」の方が「3週間毎」より効果がありますか?

2021年3月23日  , 

Her2陽性、リンパ節に転移があります。術前にAC療法(ドキソルビシン、エンドキサン)「3週間」毎4クールの後、ペルハー、ドセタキセルを3週間に1度4クール後に、摘出手術とのことだったのですが、セカンドオピニオンでは体力がある場合に限り、AC療法「2週間」毎4クールにしたほうが効果が高いと言われました。AC療法「2週間」に1度の効果と具体的エビデンスについて教えていただけないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。

HER2陽性でリンパ節転移陽性の乳がんに対し、化学療法の投与間隔を短縮したドーズデンス化学療法の提案があったことと存じます。ドーズデンス化学療法とは、3週間毎にAC療法を行うところを、化学療法の翌日に白血球を増やすための持続型G-CSF(ジーラスタ)を皮下投与してAC療法を2週毎に行う方法です。化学療法の投与量は増やさずに、投与間隔を縮めることによって、化学療法後に腫瘍が一旦縮小し再増殖するまでに、次の化学療法でさらに縮小を図るということが目的です。ドーズデンス化学療法は、3週毎と比べると再発を抑え予後を改善させることが複数の臨床試験で示されています。一方で、HER2陽性乳がんを対象とした検討は少なく、2020年に1つ報告があり、3週毎投与と比べ再発が抑えられる傾向がみられましたが有意差はみられませんでした。セカンドオピニオンでご提案されたように、貧血などの副作用が増えるため十分な骨髄機能や再発リスクなどを考えて選択する必要があり、主治医の先生と相談されると良いでしょう。現在は、術前治療後に病変が残存していた場合にはカドサイラの投与を行うことが推奨されておりHER2陽性乳がんの治療成績はさらに改善しています。頑張ってください。

 

文責:県立広島病院臨床腫瘍科 土井美帆子